ここ数か月、日々の仕事に対するストレスがかなり軽減しています。

理由は簡単で会議が減少したから、半年前は予定表を見ると一日の半分以上が会議で埋まっていて「どこで作業すればいいんだ?」という感じでしたが、今は日中にまとまった作業時間がとれています。

就業時間が過ぎてから、日中消化できなかった大量タスクを残業で片づけると思うだけで憂鬱になりますし、単純に会議は精神を削られます。あと、個人的に社内会議でも会議をしたら何かしらの記録を残さないといけないと思っているので、会議後の情報整理に時間がかかってしまうんですよね。

会議が減った理由は今メインで担当しているプロジェクトの方針で、定例会などの社内外の会議を削減しつつ、進捗に関する情報共有はビジネスチャットツールのスレッドにまとめて行っているからですね。

成果や失敗、懸念点はリアルタイムでスレッド上で管理されています。そして、関係者が非同期的に確認して議論を行うため、週にたった一回の定例会を実施する際には、すべての議題に結論が出ていて、これまでの決定事項のおさらいを口頭でするだけで終わります。

では、これまでのプロジェクトがどうだったかというと、週2で行われる社内会議と週1で行われる社外会議ですべての議論を実施していました。さらに、週2日作業会議という会議があって、特に議題がなくても会議をつなげながら作業をしないといけない日がありました(これがかなりストレスでした)。

それ以外にチャットでの議論はありません。で、毎回会議で話すんですが、論点がまとまっていなかったり、参加者が前回の会議の内容を忘れていたりと決めなければいけないことが決まらず、延長することも何度もありました。

あの時は、本当に毎日仕事をしているとイライラする感情と落ち込む感情が同時にやって来て精神衛生上かなり劣悪な環境になっていました。

重要なことは非同期的コミュニケーションと同期的コミュニケーションを使い分ける

やっと本題に入るんですが、この2つのプロジェクト違いを分析すると、前者の会議が少ないプロジェクトは非同期的コミュニケーション(チャットやメール)を多用していて、同期的コミュニケーション(会議、電話)は必要な時だけ利用していたのに対し、後者のなんでも会議で決めようとして結局決まらないという状態で、非同期的コミュニケーションを活用できていなかったんですよね。

この非同期的コミュニケーションと同期的コミュニケーションは使い分ける必要があります。そして、その際に念頭に置かなければならないことは、同期的コミュニケーションはプロジェクト全体における時間的、精神的なコストが高いわりに効率が低いということです。

このコストというのは、自分の労力や時間だけではなく他のプロジェクトメンバー全員のコストを指しています。

よく文章に起こすよりも、口頭で話す方が早いから同期的コミュニケーションの方が効率的という人がいます。ただ、これはあくまで話し手にとっての効率なんですよね。

聞き手は、音声を聞いて理解するよりも、文章を読んだ方が早く理解できますし、文章はそのまま記録として残すことができるので、あとで確認するのも簡単です。

音声の場合は会議の録音を聞くのも時間がかかりますし、議事録に起こすのももっと時間がかかります。

あと、ここも大事なんですが、人間は口頭で話すよりも文章で書いた方が情報をわかりやすく整理できます。さらに、言い間違いや聞き間違いによる伝達ミスの可能性も少ないです。

そして、話し手に対して聞き手のほうが数が多いことも考える必要があります。会議で発言している人は、会議で参加している人数分の時間を奪っている感覚を常に持ち続ける必要がありますね。

非同期的コミュニケーションを使う場面とは?

非同期的コミュニケーションのメリットは非常に多いです。

まずは時間的なメリットですが、会議の時間を待たずいつでも発信することができます。そして、発信者がメッセージを記入している間、受信者は他の作業をすることができます。

ここが一番重要なところですが、受信者はいつでも自分のタイミングでメッセージを確認することができます。

そうなると、シングルタスクで作業に集中できる時間をまとまって取ることができるんですよね。個人レベルで1日のスケジュールを管理できるので、作業効率は上がります。

特に自分は週の3分の1の時間はコーディングに費やしているので、数時間連続で作業ができることは重要です。

プロジェクトの中では、発信者が一定時間のコストを払って情報を整理し、受信者の時間を削減するのは、受信者の方が数的に多いので大切です。となると、非同期的コミュニケーションによる時間的メリットはプロジェクトに関わるメンバーが多いほど大きくなりますね。

次に、発信者の発言がそのまま記録に残ることも大きなメリットになります。

ちゃんと議事録を書くのは、会議と同じくらい時間がかかりますし、簡易的な記録でも記録を残しておくことのコストは高いです。

会議を録画しておく手もありますが、情報を探すのに手間がかかりすぎて実用的ではありません。

非同期的コミュニケーションなら発信者が情報を整理した状態で情報がやり取りされるので、それをそのまま確認するなり、要約するなりしておけばあとから情報を確認することができます。

メールだとやや煩雑になることがありますが、ビジネスチャットツールを利用すれば、情報を検索にかけることもできますし、スレッドなどで情報を整理しながら、一つの議事録を作っている感覚で議論を進めることができます。

もうこれだけで、非同期的コミュニケーションにはメリットが大きいことがわかってもらえると思いますが、他にも情報発信する際に受け手の都合を考えずに好きなときに記録を残すことができたり、返信の際は情報を調べながら、調べた情報を添えて返信できるなど、いくらでもメリットが上がります。

なので、基本的に非同期的コミュニケーションを活用するのがプロジェクトの成功には必要なことだと思います。

同期的コミュニケーションを使用するタイミングとは?

ここまで、非同期的コミュニケーションの重要性を書いてきましたが、同期的コミュニケーションを否定しているわけではありません。

むしろ、私は日々のうんざりするほど大量の会議を経験して非同期的コミュニケーションに頼るプロジェクト運営に疑問を持つようになったわけですが、もともとは面と向かって話したほうが効率的だと思っていた人間ですし、今でも同期的コミュニケーションの重要性を感じています。

年に1回、なけなしの予算で70人規模の事業部の懇親会を企画していたり(今年で3回目の開催になりました)、週に2、3回下っ端同士で1on1を実施していたりと同期的コミュニケーションも活用しています。

重要なことは、無駄な同期的コミュニケーションを避け、逆に必要な場面では同期的コミュニケーションを積極的に取り入れることです。

 

初対面での会話は同期的コミュニケーション

では、どんなところで同期的コミュニケーションが役立つというと、まずは面識のないメンバーが集まった時です。

私が前述の事業部の懇親会を企画する目的の一つとして、会社内にチャットで個人的にコミュニケーションを取れるメンバーを増やすというものがあります。

仰々ししい正式なコミュニケーションパスを経由しなくても、困ったときは直接チャットで非同期的コミュニケーションが取れる、そんな関係のメンバーを社内で増やして置くことで、個人レベルの非同期的コミュニケーションを活発化させることができます。

プロジェクトでは、前もって個人レベルで相談しておいたほうがいい場面があります。さらに、2者間の非同期的コミュニケーションはコミュニケーションコストが最小なんですよね。もちろん、関係者全体が確認できる場で情報をやり取りすることも重要ですが、公のコミュニケーションの準備として直接チャットできるように、最低限各メンバーの連携を確保しておく必要があります。

そんなときに、話し方や表情など人となりを理解するために必要な多くの情報をやり取りできる同期的コミュニケーションは有効です(更にいうと、自分はオフィスなんて解約してしまえと思っている人間ですが、ここだけはリモートではなく対面でコミュニケーションを取ったほうがいいと思います)。

あともう一点、話がズレますが、今後何度もやり取りが発生する場合、初対面の相手には軽く1,2分自己紹介をする、逆にいうと相手に自己紹介を求めるべきです。

長ったらしい世間話をするのではなく、相手が知りたいと思っている自分の人となりやスキルの情報を短い文章で簡潔に伝える必要があります。自己紹介なしでプロジェクト進めていしまうことは非同期的コミュニケーションの妨げになりますし、相手に情報を与えないという意味で失礼です。相手に自己紹介を求めないのも誰でもいいという印象を与えることになるかかもしれません。

 

感情的な会話も同期的コミュニケーション

次に同期的コミュニケーションが必要なのが、感情的なやり取りですね。仕事には私情は必要ないとは思いますが、それでも誰がどう思っているのか、メンバーそれぞれ気になりますし、確認すべきだと思います。

正直、どんな仕事でもそれをやりたいと思っているメンバーがやるか、興味がないメンバーがやるかで仕事の質は変わってくると思います。人間なんだからしょうかないですよね。

どんなにやりたくない仕事でもベストは尽くせるのが一流なのかもしれませんが、みんなが一流になれるわけではないですし(少なくとも自分はむりです)、全員一流である必要もないです。

単純にやりたい人がやりたい仕事をやればいいのであって、そのためにはある程度はどう思っているのか、個人の感情をやり取りする必要があります。

感情に関する情報もなかなか文章で伝えるのが難しいので、より情報量が多い同期的コミュニケーションを活用すべきです。

非同期的コミュニケーションだと、倫理的に情報を整理してしまって、理性が勝ってその裏にある感情が見えづらくなってしまいます。

定例の会議を設定するのは極力避けるべきですが、週に1回は必要だと思います。理由は、メンバーの感情的な部分をお互いに把握する必要があるからで、これがうまく行ってないと、チーム全体のパフォーマンスが落ちたり、誰かが肉体的、精神的に不調を来してときに、感情的な兆候を共有することができないからです。

この他にも、事実を整理したり、確認する場面など同期的コミュニケーションが有効な場面はあるので、やっぱり同期と非同期どっちがあっているか毎回考えることが大切です。

その上で同期的コミュニケーションを行うなら、資料を作らないまでも、予めアジェンダを共有するなど、会う程度の情報は整理は必要です。

まぁ、普通に業務時間に面と向かって雑談するのも大切だと思います。でも、その時もなるべく少人数にしましょう。集団(5人以上)で行っている雑談ほど無意味なものはないです。

だいぶ長々とした記事なってしまいました。まとめると、同期的コミュニケーションはとにかくコストが掛かるし、非同期的コミュニケーションと比べると効率が悪いことが多いので、同期的コミュニケーションと非同期的コミュニケーションを使い分けましょうという話でした。

それでは。