資料は目的によって書き方が異なる

ITの世界で仕事をしていると、同じ書き方で資料を作ってもうまくいかないことがあります。

「 この間の報告書はこの書き方でわかりやすいって言われたのに、今日のプレゼン資料を同じ書き方で書いたら、みんな退屈そうで全然理解してもらえなかった」

とか、

「次に開発しているアプリケーションの仕様書の内容をコピペして報告書に貼って提出したけど、わかりにくいって言われて差し戻された」

みたいな経験をよくしました。そこでどうして伝わらないのか考えていたら、資料はその利用目的によって書き方を変える必要があることに気づきました。

ということで、仕事で作成する資料を大きく分けて3つのタイプに分けました。それぞれ違う目的で作られるので、文章の書き方やレイアウトが異なります。

プレゼン資料

まずは、資料の定番プレゼン資料から紹介します。

プレゼン資料には、その名の通りプレゼンテーションで使われるスライドや会議のディスカッション資料、提案書が当てはまります。

資料作成の目的

会議や発表での口頭の説明を補助するのが、プレゼン資料の最も重要な目的です。プレゼンテーションの効果を増幅させるために作成されます。

あくまで口頭での説明を補足するものなので、文章は少なく、図や写真で視覚的に理解できる情報を入れて、聴取が発表を理解しやすくします。また、プレゼン資料はプレゼン後に配布されて、聞いてくれた人が後から資料を見て内容を思い出すのを助けるという役目もあります。

文章の特徴

文章にも特徴があって、あえて、メッセージ性の高い定性的なフレーズによって構成されています。

プレゼンは聞いてもらった人の判断や価値観を変える必要があります。例えば、コンペでの提案プレゼンでは、プレゼン前は他社製品を推していた聞き手の判断を変えて、自社の製品が一番であると思われせる必要があります。なので、時には相手の感情に訴えかけるような表現を使うこともありますね。

資料の作り方

資料作成時は、この資料を使ってどのように説明しようということを念頭に置きながら資料を作成します。プレゼンテーションの時間は限られているので、次回配分や聴衆が聞き取れる情報を意識して内容を増やすことよりも削ることを優先します。

あえて、記載せずに聞き手に疑問に思わせて質問させるという高等テクニックもありますね。

発表時間が限られているので情報を絞って、伝えたいことだけ伝えるのがほかのタイプの資料と最も異なる点だと思います。

ちなみに、自分のブログの文章はプレゼンするわけではないですが、書き方としてはプレゼン資料に分類されます(投影するスライドというよりは、発表原稿的なノリで書いてますが・・・)。

報告資料

次に報告書です。報告書はどんなロールの方でも書きますし、業務で作成する資料の8割以上は報告資料のタイプだと思います。

また、上手く書けないと業務に支障が出る可能性が高いので、まず書く練習をした方がいい資料は報告資料だと思います。

プロジェクトの報告書やレポート、メール、マニュアル、論文はこのタイプです。提案書もこの形式で書かれていることもあります(提案書は提案プレゼンの場での発表に使われる資料でもありますが、その後提案された側でプレゼンの場にいなかった人間も含めて読まれるので報告資料としての側面もあります)。

資料作成の目的

事実をわかりやすく説明するのが報告書の目的です。自分の気持ちを報告する場合は感情的な表現が入る場合もありますが、原則定量的な表現で淡々と過不足なく事実を記述して、その内容を読み手に理解してもらう必要があります。

事実を記述するのが目的なので、読み手に影響を与えることは目的ではありません(結果的に、事実を読み手が理解することで判断が変わることはありますが)。

資料の作り方

会議中に口頭で説明があることはありますが、基本的に読み手が一人で読んで理解する資料です。なので資料を読むだけ意味を理解できないといけないため、しっかり説明文を記述する必要があります。もちろん、文章は簡潔に書きます。内容を読み手が理解できないと元も子もないので、文章をそぎ落とすよりは、不足している内容を追加する形で作成されます。

プレゼン資料のように図表も使われますが、口頭で図表の内容を解説することができないので、必ず図表の説明文が入るのも特徴です。

正直、このタイプの資料をpowerpointのスライドで作成するべきではないと、個人的に感じていますが、慣習的にpowerpointで作成されることもありますね。

特に、テレワークが普及してオンライン会議で資料の説明がされることが増えたので、wordやPDFではなく画面共有時に画面いっぱい投影できるpowerpointのスライドで報告書が作成されることが増えた気がします(正直報告書はマークダウンで書けばいいと思ってますが・・・)。

定義資料

最後に定義書。定義書は世の中的には一般的なものではないですが、ITの世界では頻繁に用いられます。むしろ、定義書を作ることがITの仕事みたいになっている場合は多いです。

資料作成の目的

要件定義書や説明資料が当てはまります。ある事柄(例えばシステム)を網羅的に誤解が起きない形で説明するために使用します。人が決めた事柄を確実に文章として表すことが定義資料を書いて共有することで、関係者がいつでもその定義内容を確認できるようにします。

資料の作り方

全員が間違いなく定義内容を共有できないといけないので、一意に意味が決まらない表現は使いわず、誰が読んでも意味が分かることが重要です。

プログラム言語で書かれたソースコードもある意味定義資料の一種と言えるます。ということで、ITの仕事はいろんな言語(自然言語、プログラミング言語問わず)で定義書を作成する仕事言えます。

要件定義書のような日本語の文章であっても、プログラム言語で書かれたコードであっても、間違った記述であったり、一意に意味が決まらない記述があるとそれはすべてバグになってしまうので、正確性が重要です。なので、抽象的な表現もできれば避けたいです(このブログの文章とは対極にありますね)。

目的、読み手に合わせた文章を書く

冒頭に「3つのタイプに分かれます!」と書きましたが、1つの文章は実際は2つのタイプの側面を持っている場合はもありますし、このタイプに当てはまらない文章も存在します。

重要なのはその文章を書く目的と使われ方を考えて、それに合った書き方を工夫することです。なので、文章を書くときは初めに文章の使われ方と読み手のターゲットを定義するのも一つの手ですね。

そして、人によってこのタイプの文章は苦手という得意不得意があります。自分は学生時代ブログ書きながら文章を書くことを覚えたので、プレゼン資料的な文章は書けますが、報告資料や定義資料は苦手です。この間、数年ぶりに自分が書いた修士論文を読んだら報告資料的な書き方をすべきなのに完全にプレゼン資料的な文章になっていました。

ということで、それぞれのタイプの文章を目的を意識して練習していきたいと思います。

それでは。