好きであることが最大の素質

「情報系の学部に進学して将来はエンジニアとしてIT業界で働きたいけど、いままでプログラミングとかやったことないし、機械オンチなところがある」とか、「モノづくりをする職業に就きたくて大学では工学部を考えているけど、いままで何も作ったことなし、数学と物理は苦手」とか、

そんなことを思っている受験生って結構いると思います。

自分はどうだったかというと、生粋のサッカー少年でモノづくりは好きでしたけど、電子工作とかプログラミングをする時間はほとんどなかったです。それでもパソコンを触るのは好きでした。あと、致命的に数学ができなくて(1年生の学年末試験で数学が校内ワースト14位だった)、担任の先生にエンジニアになりたいのはわかるけど、君には文系に行った方がいいのではといわれちゃうような学生でした。

結局数学は苦手なままでしたが、浪人して中堅の国立理系大学に進学し、今は大学院生をやってます。当時からITの道に進みたいと思っていて内定先はIT企業なので一応希望はかなったことになります。

まだ、働いたことはないですが、これまでの大学生活は自分的には充実した学生生活を送れました。その経験を踏まえて、情報系、工学系に進みたいけど、経験がなかったり理系科目が苦手だったりして躊躇している人に考えてほしいことをまとめます。

 

 

まず、

苦手なことがあってもそれだけで向いてないなんてことはない

 

工学や情報に関係が深い、物理や数学、化学が苦手だと自分はこの道に向いていないなと思いがちですよね。それはわかります、僕もそう思ってたし、実際数学ができないことで苦労したことは結構あります。

例えば、理系大学の一年生の数学の授業って数学の数Ⅲ・Cの延長ですが、自分は生まれつき計算力が病的になく、微積分が全くできないので人の三倍勉強してかろうじて落単を回避するという感じでした。

プログラミングに関しても数式を扱うことは多いですし、暗算的な思考を使うことがあるので、研究室でコードを書いていると僕だけみんなよりも時間がかかるということがたまにあります。

工学部では回路設計とかも必須科目ですが、アナログ回路でも微分積分が出てくるので苦手意識はありますね。

ただ、数学が苦手な僕が工学部に来て苦労したことはそれだけでした。

逆に、理系の学部では大量にレポートを課せられますが、国語が得意だった僕は文章を書くのが早いので効率的にレポートを書けました。短時間で好成績がとれたので、お金をもらって他人のレポートを代筆してたぐらいです。

僕が苦手な計算は情報や工学の一つの側面しかないんですよね。例えば高校では一番計算力を必要とされる数学をとっても、複雑な問題を紐解く理解力や、根気強く思考していく推論力、斬新な解法を導き出すひらめき力の方が計算力よりも必要になります。

さらに、レポートや文章題が多いので文章力はかなり必要です。複雑な概念をわかりやすく書けなければどんなに計算が正しくても0点です。

苦手なことがあっても、大学の授業ではレポートや持ち込み可能なテスト、グループワークが多いので、メンバーで補いあったり文明の利器に頼ればいいんです。これはフリーランスとかにならない限り就職してからも同じだと思います、知らんけど。

ただ、今の受験のシステムだと総合力というよりは、まんべんなく必要な能力を持っているかを測定するようになっているので、何か一つでも苦手なことがあると低く評価されやすいようになってしまってます。

学校や塾の先生は基本進学実績を上げることをモチベーションにして生きているので(逆にその後のことは知らない)、受験で高得点をとらせるために苦手なことはさせないという風に考えてしまうわけです。

 




 

いままでの経験のあるなしではあまり差がつかない。重要なのはこれから積む経験

 

自分の話をすると、中学生から少しだけプログラミングをしていまし、高校ではwebサイトを作ることが趣味だったのでそれなりにコードを書いた経験はありました。ハードに関しても、自由研究のためにLEDと抵抗をはんだ付けでくっつけるくらいの経験はあったし、プラモデルを作るために工具をそろえていたので、加工的なこともやればできるという感じでした。

だから、経験的な面で工学部に進むことに不安はなかったです。

ただ、全く何もしてこなかった人は心配になりますよね。「大学で置いてかれてしまうのではないのか」って。

結論から言うと、経験あるなしでそれからの結果に差は出ません。なぜかというと、進学後に経験することの方がはるかに大きいから。

最初にあたかも自分はモノづくりの経験があるように書きましたが(実際はもう少しいろいろやってた)、しょせん部活の合間にお遊びでやってたことで、大学生(大学院生)からすると何もしてないに等しいです。

まあ世の中には、小学生とか中学生ですでにアプリを開発してたり、ロボットを作ったりしている人がいて、メディアでもてはやされたりしますが、そういう人は大学にはあまりいないですね。だって、普通はみんな部活や勉強に忙しいわけでそんなことしている時間はないはずです。

確かに、ほんの数%だけスキルをもっている人が大学にはいますが、そのスキルも忙しい高校生活の中で片手間で習得したスキルなわけです。大学に入ってしまえばそのスキルを勉強や研究として白昼堂々、その道のプロに教えてもらいながら何時間もかけて習得できるわけですからあっという間に追いつけます。

ちなみに、工学、情報関係の学部には高専出身という学生が少なからずいます。彼らは、ある程度受験勉強は免除されて早い段階から実践的な教育を受けているので編入直後は実験の授業や研究室でもてはやされますが、院に進学する頃には普通の学生と見分けがつかなくなります。

そのあとのことは働いていない僕は言えないのですが、就職したらもっとその傾向は強まりますよね。だって、今度はお金をもらう代わりにそのことを年中しなくちゃいけななるわけですから。

 

 

一番重要な素養は好きであること

 

浪人、院進含めて3年間多く学生をしているので、周りの友人はもう社会人3年目です。

ついでに、工学系の学生わりには割と活発な方なので、たくさんの学生や先生とあってきました。しかも、僕は人の人生をあれこれと詮索するのが大好きなので、いろいろな話を聞いて、考察してきたわけです。

で、そこで思ったことは、何をするにも最も重要な才能はそれが好きであること。

「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、これに尽きるなと思いました。

人には先天的なポテンシャルがありますし、何事にも向き不向きがあるのはしょうがないことだと思います。

でも、そのことを成すのに必要な素養をすべてもって生まれてきた人なんていないと思いませんか。

例えば、スポーツ選手を見ても、

背があまり高くないバスケット選手もいますし、キック力がないサッカー選手もいます。足がすごく遅い人も笑。

でも、バスケットが好きじゃないバスケット選手はいないのではないでしょうか。いろいろあって嫌いになっちゃってる人はいると思いますが、そんな人もバスケットをはじめたときは好きだったはずです。

逆に生理的に合わないというのは絶望的なことで、どんなに才能があってそのスポーツに向いてても楽しいと全く感じないのなら、続けることはできないし、続けていてもその人は不幸だと思います。

よく、知育のために親に無理やり習い事でピアノをやらされる子供がいますが、そもそもその子が音楽が好きじゃなったら絶対うまくなりません。練習が苦痛でしょうがないと思います。逆にはじめはいやいややっていても、音楽が大好きな子供だったら勝手にどんどんうまくなります。

ITやモノづくりに関してもまさに同じことが言えると思うんです。

理由は様々あると思いますが、プログラミングや工作が好きならばそれがインセンティブとなって苦手なことや困難も乗り越えることができます。

好きな理由は

「試行錯誤しながら形作るのが好き」とか、「形にしたいアイディアが思いつく」とか、「できたものを人に使ってもらって喜んでもらいたい」、「自分で使うと満足感に浸れる」とか、なんでもいいんです。

自分の周りの人間のキャリアパスを見ていると逆の行動をとった人間は失敗しています。

というのは、全く興味がない、好きでもないのに、得意だから、勧められたからという理由でそれを始めた人です。

最終的に生理的にそれがどうしても無理という状態に陥って、退学してしまったり、転職しなければならなくなります。

 




 

といっても、自分が本当にIT、ものづくりの世界に興味があるのかわからないという人は、とりあえず何か作ってみてはどうでしょうか?

プログラムがやりたい人はPythonという言語を触りのところだけやってみるといいかもです。簡単に派手なことができます。

コンピュータ言語はそれを動かすための”環境”を自分のパソコンにインストールするところがめんどくさいので、挫折してしまう人が多いのですが、anacondaという環境(ソフトウェアみたいなやつ)をインストールすれば勝手にpythonが動くようにしてくれるので、「anaconda インストール 初心者」で調べてください。

さらに簡単にお手軽に試したいという人はScratchというサイトがあります。小学生のプログラミング教育とかで使われているやつです。コードが書かずにプログラムの設計図的なやつを作れば自動で動きますが、できることはめちゃめちゃ多いです。

Scratchよりは難易度が高いですが、webが好きな人はHTML、CSSでサイト作ってみるのもありです。ちなみに僕の原点はこれです。最近はいろいろツールがあるので、コードを書かなくてもかっこいいサイトが作れます。サイトができたらwebサーバーを借りて公開すると感動します。

Youtubeをよく見るという人は画像編集ソフトで動画を作ってアップロードするのがいいと思います。動画編集も立派なIT技術ですし、一本動画を公開すると、画像処理やネットワーク技術についていろいろ勉強できます。できればadobe製品のpremiereやPhotoshopをかっこよく使いこなしたいですが、高価ですし操作が難しいので、macやwindowsに無料で入れられるiMovieやムービーメーカを使ってください。

音楽が好きな人はDTMでしょうか?僕は詳しくないですが、友人がiPhoneのがレージバンドというアプリでかなり本格的な曲を作ってました。

自分はソフトじゃなくて形あるものを作りたいという人は、3DCADがお勧めです。学生ならfusion360というソフトを無料で使うことができます。かなり本格的なソフトですが、直感的に操作できるのでyoutubeなどを参考にすればすぐにスマホケースぐらいは設計できます。データができたら3Dプリンターで印刷してみるといいですよ。3Dプリンターは家庭用でも数万円しますが、貸してくれるところもありますし、工学部に進学すれば大学で使うことができます。

今あげたのは自分がやってみて楽しかったことを上げただけで、なんでもありなんですよね。時間のない中高生の方にはちょっと敷居が高いかも。

もっと手軽なやつでもいいと思います。写真をSNSに上げるとか、縫物をしてみるとか、あと料理をするとか!学部時代に毎週化学実験させられて思ったんですが、料理と化学の実験って本質は同じです。例えば、最初はレシピどおり作ってみて、次作るときは材料の分量を調整して味の変化を調べたり、結果を記録すればそれは立派なエンジニアリングだと思います。

で、しっくりきたものがあったらそれがあなたの道なのかもしれません

 

それでは。

 

理系の専門分野って実はキャリアにとってはそんなに重要じゃないって話です