夏季休業の真っただ中、9月の上旬から三週間、某大手電機メーカーのグループ企業の中期インターンシップに行ってきました。朝7時には家を出て夜の8時に家に帰る。普段の大学生活では考えられない規則正しい社員生活を真面目に15日間勤務できたのでその体験記をまとめてみたいと思います。

中期インターンシップ?短期、長期と何が違うの?


中期インターンシップ。あまり聞きなれない言葉かもしれません。皆さんがイメージされているインターンシップは短期インターンシップではないでしょうか。短期インターンシップは3日から一週間のプログラムがほとんどです。それに対して2週間から一か月の間、研修を受けるのが中期インターンシップ。多くの場合は夏季休業を利用して研修期間、フルタイムで働きます。それ以上の期間になると長期インターンシップと呼ばれ、こちらは期間が長いので大学生は長期休業を利用することができず、大学の授業後や全休、休日の日に出勤するという場合が多いようです。

新宿のオフィスビル

中期インターンシップの実態とは・・・


インターンシップの形態の話はこれくらいにして、具体的に中期インターンシップがどのようなことをするのかお話します。

短期インターンシップでは多くの場合、一回の募集でいたい30名くらい集められ、3日程度の研修を受けることになります。企業側の目的の多くはリクルーティングや広報活動であり、インターン生側も企業側も非常に就職活動を意識することになります。ですから、研修内容も会社全体を見学してみて回り、ガイダンスを受け、就職活動で行われるようなグループワークやディスカッションに取り組むというケースが多いようです。実務的なことを体験できると期待しない方がいいでしょう。ですが近年ではインターンシップに参加した学生しかエントリー資格を与えない企業もあるようですし、就職を希望する企業が短期インターンシップを行っている場合は必ず参加するようにしておきましょう。

一方、中期インターンシップでは大きい企業でも一度に受け入れる研修生の数は2~7人程度。これは期間が2週間から一か月であることから一人当たりに対する企業が負担するコストが大きいため受け入れ人数はこれくらいが限界なようです。研修内容も短期インターンシップとは異なり実務的なことが多くなります。企業秘密や製品の品質保持の観点から実際に体験できる業務は限られてしまいますが、研修のための仮想的な業務が用意されている場合もあります。私の場合は研修先が電機メーカーであったので、数人のインターシップ担当の社員の方と終日ともに行動し、皆さんの業務を手伝わさせていただくという形で製品化前の試作機の製作過程を体験しました。

基盤

具体的な内容というと、紙媒体で書かれている製品の回路図をCADを使ってデータ化していく、プリント基板にコンデンサーや抵抗器といった電気部品をはんだ付けし試作機の製作段階で大量に使用する基盤を制作する、出荷前の製品の性能評価のためのデータ収集など、学部3年生の私でもこなせる範囲で業務のお手伝いをさせていただきました。いずれも非常に教育的で大学で学ぶことができないことを学べます。大学でも理系では実習や実験といった就職後の仕事を意識した授業がありますが、それとと比較すると、作業の精度や複雑さは次元が違いました。例えば、はんだ付けでチップ抵抗と呼ばれる1mm程度の抵抗を基盤に数十個も取り付けたり、CADでA3で9枚に及ぶの回路図に1000個以上の部品を配置したりしました。一般的な理系大学の実験では扱う抵抗は1センチほど、回路図上で扱う部品数はせいぜい10個程度であることを考えれば、私が次元が違うと感じたことに納得していただけると思います。

CAD(キャド、: computer-aided design)は、コンピュータ支援設計とも訳され、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツールのこと(CADシステム)。人の手によって行われていた設計作業をコンピュータによって支援し、効率を高めるという目的からきた言葉である。

引用元:Wikipedia

もうひとつ短期インターンの特徴として、社員との交流時間が非常に長いです。社内にインターン生はほとんどいないので昼食などの勤務時外の時間も社員の方と過ごすことになります。ほかのインターン生と待ち合わせることもできますがせっかくなので社員の方と過ごした方がいいでしょう。会社や部署によっても違いますが部、課単位で飲み会や食事があるときは、もちろんインターン生も参加することになりますし、私のは場合は配属された課の方々と私の大学のOB会の方々に歓迎会を開いていただきました。

つまり、中期インターンは本格的に社員生活を体験できるんです。

なぜ15日間なのか


貴重な長期休暇を15日間も犠牲にしてフルタイムで働くという行為を理解できない。というまともな感覚をお持ちの方も多いでしょう。しかも、私の場合は大学の授業の一環として無給で働いたわけですからなおさらです。その代り貴重な単位をいただきましたが、

それでも、私は就活に直結した短期インターンは別として、2週間以下の期間しか行かないインターシップはあまり行く意味がないと感じました。

社員との交流の中で自分の10年後の姿を知る


インターン先の企業というのはあなたが就職したい企業です。給料や待遇のためという例外を除いて、行きたくない企業にいく人はいないでしょう。ですから、そこで働く社員の方はあなたの理想の姿であり、そして数年後、同じ立場にいる可能性が高いです。つまり10歳年上の社員はあなたの10年後の姿に近いと考えられます。これは同じ有給でもアルバイトとインターンで大きく異なる点です。

その中で15日間働いていると彼らの価値観や考え方を知ることができます。さらに、まるで自分がそこでずっと働いているかのように同じことを考えたりするのです。例えば、昇進のために英語の勉強がしたい、飲み会の次の日の出勤がきつい、あの取引先の担当者とは苦手だなど、これは10年後の自分が持つであろう価値観の疑似体験だといます。これができるのが2週間以降であり、たとえ短期インターンシップで1週間研修を受けたとしても不可能なのです。

皆さんはこのように思ったことはありませんか?「今の価値観や感覚を持ったまま10年前に戻れたら、もっとより良い選択ができる」と。しかし、10年前に戻ることはできません。でも中期インターンシップで10年後の価値観を得ることはできます。そしてそこから、10年前である今自分は何をすべきか逆算することができるのです。

結局、就活に役立つのか


ここまで、中期インターンシップで何を学べるのかについて話してきました。でも今就活を控えてる皆さんが興味を持つことは就活に役立つことは何かですよね。私もそうです。

ズバリ、中期インターンシップは就活に役に立ちます。

確かに、時間的なコスパは悪いです。8時間勤務だとしても残業や飲み会で帰宅時間は遅くなりますし、インターン先を選ぶときに勤務地はあまり重視しないので通勤に時間がかかることもあり、一日12時間以上インターンシップに費やすと思っていたほうがいいです。就活が迫っている人にとってはそんなに時間をかけるなら、企業研究やSPI、TOEICの勉強に時間を費やした方がいいと思うかもしれません。それでも、インターンシップをとおして自分の理想を実現するために自分が今何をするべきか把握することで残りの大学生活を有効に使うことができます。ですから、中期インターンシップは早めに行っておくことをお勧めします。1,2年生のうちはまだ就活を意識できないかもしれませんが、中期インターンシップに行けば就活という誰もが避けることのできないイベントを前向きに意識できるようになります。

さらに、直接内定が出るということはありませんが、インターンシップに来た学生がその後その企業に就職するというケースはよくあるそうです。私のインターン先の会社ではその場合、必ずインターンで配属された部署に配属されることが決まっているといわれました。前述したように中期インターンシップの目的は就活ではありませんが、中期インターンシップを通して企業側はインターン生の素性をかなり把握できるので、採用に伴うリスクが低い中期インターン生をとりやすいのではないでしょうか。

まずは行ってみてください


ここまでの記事を読んで、中期インターンシップに行ってみたくなった方もいれば思わない方もいると思います。しかし、もしその機会があるのならば行ってみてください。たとえ無駄になってしまったとしても中期なので一か月以内に終わってしまいます。中期インターンシップを実施している企業は少ないので機会がない方は短期でもいいです。行ってみないとわからないことがたくさんあります。例えば以前の記事にジョブ型とメンバーシップ型という記事がありましたが、同じ業界の企業でもジョブ型の企業もあればメンバーシップ型の企業もあります。また、自分がどっちの型で働くのが向いているのか実際に働いてみなければわかりません。私のインターン先の企業は完全なメンバーシップ型企業で社員の方からは働き方は20年前30年前からほとんど変わってないのでないといわれました。社員食堂はかなり充実していましたし、大きな寮があって新入社員の多くが入寮するそうです。福利厚生もしっかりしていて、部活があったり社内祭があったりする昔ながらのメンバーシップ型の企業という感じでした。このような情報は企業研究をしてもなかなかわかりません。さらに、新規に新しい業界に参入するとか、新しい製品を開発し始めるなど絶対に外部の人間は知りえない情報も長期間、会社にいると知ることになります。ですから中期インターンシップを受けた企業の入社試験を受けた場合、その会場の誰よりも企業研究をしっかりしていることになるのです。

まとめ


書きたいことがありすぎて長々とした文章になってしまいましたが、少しでもこの記事を読んでインターンシップに行きたいと思ってくだされば幸いです。インターンシップに興味はあるけどわざわざ行く気はないと思ってる人がほとんどかもしれません。でも、インターンシップで一番多くのものを得るのはそんな人たちだと私は思います。そして、様々な形態があるインターンシップで一番価値のある経験を得れるのが中期インターンシップです。機会のある方はぜひチャレンジしてみてください。