デジタルマーケティングの普及からオウンドメディアや情報配信サイト等に自社の製品やサービス、ソフトウェアの事例記事を投稿する場面が増えてきていると思います。
といいつつ、webを使ったセールス活動って社内に知見がないことが多いのではないでしょうか?
自分もそうですが、特にBtoBビジネスをやっているところはBtoBのマーケティングに関する知見が世の中的にもまだ出回っていないこともあり、自社の事例の発信も手探りでやっているところが多い気もします(もちろん、昔から事例をネット限らず公開して知見も十分あるところもあるとおもいますが)。
ということで、個人的に事例記事を公開する上で大切だなと感じている事項を紹介したいと思います。
ストーリーを考える
事例記事は製品の購入やサービスの導入などを通して得たユーザーの経験を閲覧者に重要なポイントだけまとめて追体験してもらうための記事です。
なので、必ず文章全体でストーリー表現するようにしてください。
定番の流れは、「こういう状況でこういう困難があった。そこで、こういうことをしたら、こうなってこんないいことがあった」という流れで、大げさに言うとドキュメンタリー風にユーザーの体験を閲覧者にイメージしてもらうことが重要です。
ということで、冒頭のつかみの部分でターゲットである閲覧者の興味を引いてからは、各章で切れ目なく話を展開していくことが必要になります。
どこかでバチッと話が切れてしまうとそれ以降は読者がついていけなくって離脱の原因になるので注意してください。
記事に最低限必要なものは、背景や周辺概念、具体的な事例の中身、解決された問題点、得られた利益、読者に訴えたいメッセージの5つ
事例記事には最低でも上の5つの概念を盛り込みたいです。
背景や周辺概念
まずは、背景や周辺概念。
これは省かれてしまうことも多いですが、事例記事の閲覧者はまだ紹介したい事例に対して深い知識を持たず、漠然と情報を収集している場合が多いので、関係する基礎知識を持っていない可能性が高いです。
もし何をすれば自分の持つ問題を解決されるのかわかっているならば、事例を調べることなく、ピンポイントで必要な製品や手法の名称を検索して、その事項だけが詳しく述べられているページを閲覧するはずです。
逆に事例記事にたどり着く人は、自分がどうしたらいいのか分からず、まずは自分が抱えている問題点や状況についてネットで検索をかけ似たケースがないか探している人たちになります。
そういった人たちにはまず冒頭で事例の背景や周辺の概念を説明し、次に続く文章を読むための基礎知識を身についてもらう必要があります。
具体的な事例の中身
次に事例の中身です。ここを書き忘れる人はいないと思いますが、5W1Hを意識して知識がない人でもどんな事例か簡単にわかるようにする必要があります。
事例記事では提案書や契約書のような細かい内容はいらないですが、かわりに直感的に紹介したい製品やサービスを理解できる写真や図を多めに掲載するといいと思います。
解決された問題点
さらに重要なのがこの事例によって閲覧者が抱えるどのような問題点を解消する(ニーズを満たす)ことができるのか説明します。ここは後に来る事例が実現されたことによって得られた利益をより明確化するために必要不可欠です。
SEO的な観点からも重要で、閲覧者はgoogleといった検索サービスで自らが抱えている「こまっていること」、「不満に思っていること」からキーワードを連想して検索を行います。
ですので、閲覧者がもっている問題に一致する内容を記載することで検索結果に上位で表示されやすいですし、閲覧者が今読むべきページであることを印象づける事ができます。
ビジネスの世界では問題点ではなく実現すべき状態からのギャップである課題で語ることが多いですが、事例記事で課題を全面に押し出すのはいいとは思いません。理由は閲覧者が問題から自身の課題を導き出せてない場合が多く、課題から入っても自身に適用されるのか判断がつかないからです。なので、必ず問題から説明するようにしてください。
得られた利益
ここも言うまでもなく重要なところですが、まずはこの事例におけるメリットを具体的かつ明確に表現することをおすすめします。ここで抽象的に一般化して説明してしまうと、事例のケースとの関連に納得感がなくてなってしまうので、ズバッとこれがいいんだと言い切ってしまったほうがいいと思います。
その上で後のまとめや解説(考察)として抽象化して事例によって得られた利益を説明してより多くのケースに適用されることを説明しましょう。
一旦具体的なメリットに対して納得してもらった後に、論理が飛躍しない範囲で話を汎化し様々な場面に適用できることを説明するこで、閲覧者にこの事例は一般的なもので多くの場面に適用できることを印象づけることができます。
読者に訴えたいメッセージ
最後にこの事例を通して一体自分が何を閲覧者に伝えたいか意識します。明確にメッセージを文章として記事に散りばめてもいいですし、くどくなったり、がめつく感じられるのが嫌ならば、直接メッセージは書かないで読み手が意図したことを思うように誘導することもできます。
少なくとも、事例を発信するならばその事例から閲覧者が受け取って欲しいメッセージがあるはずです(なんとなく伝えたいってこともあるかもですが、ビジネスでそういう場面はかなりレアじゃないでしょうか)。
まず、記事を書き始めるまえにこの事例記事で伝えたいメッセージはなんなのか、また紹介する事例はそのメッセージを伝える題材として適切か考えてみてください。
具体から抽象という流れが説明し易い
「抽象→具体」でもいいのですが、やはり事例記事では「具体→抽象」のながれで説明するほうが書きやすいです。
「この事例では具体的にこんなメリットがありました。それはこういうことを意味していて、抽象的にはこういうことなんです。あなたの周辺でも応用できかもしれません」
こういう流れで説明して行くと飛躍なく自然に伝えたいことが説明できると思います。
まず抽象的な概念を説明しきってから、具体的な事例を書いてもいいですが、閲覧者が一番読みたいのは事例のところなので、ちょっとこの流れを離脱者なく自然にやるのはかなり難しいですね。
また、「具体→抽象→具体」と一旦抽象化してからまた同じ事例か違う事例を持ち出して説明しなおしてもいいと思います。
また、抽象化だけではなくユーザーの主観的な感想を訴えるのも共感を得る手法として有効になります。
事例記事は大事
この記事で何度も具体と抽象という言葉をつかっていますが、事例記事は製品やサービスのセールスポイントは具体的に発信できるかなり強力な手段なんですよね。
界隈に属する専門家どうしの会話ではついつい抽象的な議論になりやすいですが、初めてそれに向き合ってお金を出すか検討している人がいきなり抽象的にその概念を理解するのは難しくなってしまいます。
そんなとき、事例を使って物事を具体化してメリットを説明できる事例記事はBtoCのみならずBtoBのビジネスでもマーケティング上重要な手段だと思っています。
実際にお客様に使ってもらった事例をお客様の名前や声も出して掲載したいところですが、それが難しくても架空の事例を作って上に自分たちのセールスポイントをわかりやすく発信していきたいですね。
それでは。