世の中には2種類の会社があります。それは、事業会社と支援会社。

この違いを強く意識しているのは支援会社側の人間だけかもしれません。世の中的には支援会社は黒子として表舞台にはあまり現われないことが多いので就活生の方にとってはなじみのない概念ではないでしょうか?しかし、IT業界で働こうと考えている方には就活の序盤で自分はどちらで働きたいか考えておくのは重要だと思います。

自分はSIer(主に事業会社からシステムやアプリケーションの開発を依頼されて開発する支援会社)の4年目社員です。なので、支援会社側の働き方しかわからないので、事業会社の話は想像になってしまいます。

ただ、日頃お客様として接している複数社の事業会社の社員の方からオン、オフ含めていろいろな話を聞いているので情報がないわけではないです。

さらに、自分が所属している部では半数以上の方が中途で入社された方で、その多くが事業会社からやってきた方です。また、事業会社に転職していってしまった方も結構いらっしゃいます。なので、就職後も事業会社と支援会社の違いを意識せざるおえないわけです。

ということで、就活生の方が参考にできる情報として事業会社と支援会社の違いをまとめようと思います。

 

 

事業会社と支援会社の違いと関係性

そもそも、事業会社と支援会社って何?という話ですが、まずは事業会社から説明します。

初めにことわっておきますが、事業会社、支援会社というくくりはちゃんとした定義がある言葉ではありませんし、IT業界、コンサル業界などでなんとなく使われている言葉です。ですので、世の中の人全員に通じる言葉ではないので気をつけてください。

それに、事業会社といわれている会社も一部、自分たちのノウハウや特許を他者に展開するなど支援会社的な事業を行っている場合もありますし、支援会社がBtoB、BtoC含め事業会社的に事業やサービスを展開している場合もあります。

定義も人によってまちまちなので、事業会社・支援会社という話が出てきたときはその人がどのような意味合いで使用しているのか注意したほうがいいかもです。

事業会社

サービスや製品を自社で作成、もしくは仕入れて、自ら消費者や他社に販売してお金を稼ぐ企業です。世間一般の人がイメージする企業はこっちだと思います。

例えばBtoCの会社だと、洗剤を作って消費者に売るとか、飲食店を全国に展開して料理を提供するとか。物以外にも動画を配信するとか、保険を提供するとかサービスを提供している会社もあります。

BtoBの企業にはメーカー向けに製品の原料を製造して販売する。オフィスとして不動産を貸す。あとは自分で所有しているものではなくても、商社みたいある企業が欲しいものを海外から輸入するみたいな企業もここに含まれます。

 

支援会社

事業会社が行っている事業を支援し、支援によるビジネス貢献の報酬を稼いでいる企業です。

消費者からすると支援会社の存在は見えにくいですが、例えば食品会社には、その会社の経営をサポートしているコンサルティング会社が存在していたり、商品のマーケティングを実施するマーケティング会社存在していたり、そして業務を円滑に実施するためのシステムや消費者との接点である自社ECサイト、会員アプリなどを開発、運用するITベンダー(SIer)などが存在します。

もちろん、支援会社を利用せず、自力で業務をこなしている事業会社もあります(といっても何かしらの部分で支援会社の力を借りているとは思いますが)。

実際にどのくらい事業会社が支援会社を利用しているのかデータを見たことはありませんが、消費者やBtoBの事業会社を利用している企業が思っている以上に、商品やサービスの裏には様々な支援会社が存在しています。

そして、支援会社がそれぞれの得意分野で貢献することで、事業会社が提供するサービスや製品の質を高めていると言えます。

 

事業会社が支援会社を利用する理由とは?

事業会社が支援会社を利用する理由は様々です。人材が不足しているというのが最も多い理由だと思いますが、これまでとは違った手法を試したい、第三者によって社内を改革したい、もっと低コストで生産したいなど、自社だけでは解決できない問題を解決するために支援会社を利用します。

企業が開発したいシステムやアプロケーションはその時々によって違います。決算システムかもしれないし、顧客がサービス予約や会員情報の確認ができるモバイルアプリかもしれないし、伝票や顧客情報を一元管理するデータ基盤かもしれません。そうなると必要な人員や技術、開発手法が異なります。となると、必要なスキルを持った人材を必要なだけ社内で確保するのは難しいので、支援会社の支援を受けることになります。

「餅は餅屋」といった感覚で、事業会社のIT部門の社員と複数社の支援会社のエンジニアが集まって一つのプロジェクトを進めていることが多いです。

ここには、日本においてなかなかプロジェクトごとに必要な役割を担える人を採用をして、プロジェクトが終われがチームを解散(解雇)させるというのは難しいという背景も関係しています。

総合職として一括で新卒採用を実施、その後も研修や数年ごとジョブローテーション(若手を様々な部に異動させてあらゆる業務を経験させること)を通して、汎用的な人材を育成していて、中途での人材の動きも活発ではない事業会社ほど支援会社上手く活用することは重要になるのではないでしょうか。

事業会社の中にもIT部門というものが大体存在しています。他部からいきなり移ってきてITプロジェクトに参入するのは難しいので、そういった部署に所属しているIT人材はジョブローテーションの対象から外されていたり、他社で経験を積んだ中途の方が担当していることが多いように感じます(ここは自分もよくわかりません)。依然としてローテーションの対象だったり、昔はIT部門は他の部門で問題があった方のたまり場になっていた会社もあるという話も聞きますので、新卒で事業会社に入社して専門性を高めたい方は注意が必要です。また、IT部門だけ別会社として独立させられている会社も存在します。

そして、事業会社のIT部門メンバーだけではいいシステムやアプリケーションはできないのがITプロジェクト難しさで、実際にそれを使用する現場社員や事業会社の顧客に精通したメンバーが参加して、業務やビジネスに関する知見をシステムやアプリケーションに反映させないと、誰の役にも立たないものができてしまいます。

支援会社を利用する目的としてはコストを下げるというのも重要な目的です。この部分は今のIT業界の形態が出来上がった初期からあったと思います。一社のITシステムを開発・保守・運用するのはかなりの人員が必要になります。それくらい昔も今もビジネスにおけるITの存在は大きいです。

例えば1000人規模の会社で100人のIT人材が必要だとします。少し多すぎる仮定なような気がしますが、この場合がと社内の人的リソースのが10%がIT人材ということになります。

ただ、IT企業でない限り、企業には収益を得るための本業となる事業が存在します。そして、利益を増やすにはこの本業に力を入れて、売り上げを増やしたり利益率を上げる必要があります。

そうなると、節約する部分は投資額が大きく、本業とは直接関係ないように見えるITの部分を削るという話になるかもしれません。例えばあまり専門知識がいらない仕事ならもっと低コストで仕事を実施する企業にお願いするとか。逆に難しい仕事なら、ノウハウがあって専門性の高い企業にお願いするなどして、人員を削減します。海外の優秀かつ低い賃金のエンジニアにお願いするという手もありますよね。

仕事を依頼する際にはそれなりにお金が必要ですが、社員として人員を確保する場合と異なり、プロジェクトが終わってしまえばその会社にお金を払う必要がなくなり長期スパンで費用を節約できます。

支援会社に依頼するメリットは、自社の社員に支払う給料が高ければ高い企業ほど、人員を抱えなくて済むことによりコストの削減率が高まるのでメリットが高いです。

しかし、ITが本業に与える影響が大きくなると他社である支援会社に任せていいのか?という議論も存在します。例えばこれまでは営業を通して契約や手続きを実施していた保険会社を例に考えてみます。インターネットやスマホが普及し顧客が営業の方には連絡をとらずに、自らスマホやPCを通して契約や手続きを行うようになると、顧客が保険を選ぶ基準の一つに、契約サイトのわかりやすさや、操作のしやすさ、契約後の管理ページの機能などが入ってきます。

さらに、これまでとは異なりweb広告を活用したり、営業に代わってシステムが顧客の情報を一人一人分析したりと、ITの本業への影響はさらに増加します。

また、営業の方はいままでや自身の頭やノートやPCにすべて入っていた担当顧客の情報が、自分を介さずにネットを開始してやり取りされるようになるので業務の不可は減る反面、担当の顧客に直接面会した際には自分の知らない顧客の情報を瞬時にタブレットなどを通して得られるシステムなどが必要になります。

となると、営業の方の採用や人件費、教育にお金をかけていた分を、さらなるシステムの導入や改善、さらに営業を含む既存社員のIT教育に費やすようになるわけです。どんどんウェイトが大きくなるITの存在を本当に支援企業に任せっきりにするのは本業での成果にも影響が出るかもしれません。

自分が支援会社に属して感じる問題点の一つとして、支援会社が開発するシステムやアプリケーションの質が事業会社のビジネスの成功を左右するのに、支援会社はその成果を享受することができないどころか、知ることもできないことがあるという現状があります。そうなると、支援会社の人間は事業会社のビジネスに責任持たず、無難にプロジェクト終わらせようという気になりがちです。

もちろん、支援会社としては支援をしている事業会社にもっとお金を稼いでもらって、さらに大型のプロジェクトを発注してもらうことを目的とすべきですが、支援会社の1メンバーからの事業会社のビジネスの成果は少し距離が遠くに感じると思います。

この点に関しては事業会社から見るとどのように見えるのでしょうか?もちろん、問題視している事業会社も存在します。事業会社がの対策としては、自社でで実施できることを増やす(内製化)、さらに高額な支払いをしてもっと質の高いサポートを支援会社から受けようという考え方があります。

実際はどちらか片方だけでは、上手くいかないので両方のアプローチからIT化(いわゆるDX)を進めているのが実情だと思います。ただ、もし事業会社のITに関わる方に直接話を聞ける場面があるなら個人として企業としてどちらの考え方に近いか聞いてもいいかもしれません。

 

 

支援会社を利用しない事業会社とは?

できるだけ、支援会社を利用せずにすべて自社のメンバーだけでITプロジェクト進めている会社も存在するとは思います。しかし、支援会社に在籍する自分は支援会社を利用しない事業会社とは取引がないので実情はわかりません。

おそらくですが、そのような会社会社全体におけるITへの支出額や投資額がかなり大きく、必要としてるIT人材のロールが明確化されている企業だと思われます。

かなり小さい規模の企業だった場合なんでもこなせる人材がいればなんとかなるかもしれませんが、企業の業務におけるITの重要は現在かなりIT人材がこなすべき業務量は膨大なので、それをすべて自社で実施するには、かなりの人員をIT人材として採用しなければいけません。

ただ、最近DXの文脈で企業におけるITの重要性の認識は上がっているように見えますが、社員の構成をIT人材重視にシフトするような思いっ切った経営に踏み切るのはいろいろな問題があるため難しく、ITメガベンチャーや自社開発企業と呼ばれる自分たちはIT企業であると認識している企業以外はなかなかできないと思っています(自分が知らないだけかもです)。

内製化を進めている企業で社会的にはIT企業と認識されている企業であっても、すべてのプロジェクト自社人材で賄うのはやっぱり難しく、内製化している一部プロジェクトだけで、他はそれぞれのプロジェクトに精通している支援会社が対応しているのが実情だと思います。

自分はメインの業務と同じくらい、もしくはそれ以上に現代におけるITの重要性は高いと感じていますが、ビジネスにおけるリスクや効率性を考えて上手に支援会社利用していく、現在の日本の一般的な事業会社と支援会社の関係性のなのかもしれません。

事業会社のITを支援している支援会社であってもこれは例外ではなく、請け負ったプロジェクトのすべてを自社のリソースで実施している会社は少ないですし、自社で自分たちで使っているシステムでもあっても、他社が作ったソフトウェアやシステムを利用している企業は多いと思います。

 

新卒で支援会社に入社するメリット・デメリット

自分が思う新卒で支援会社に入社するメリット・デメリットを書いてみます。

メリット

  • 専門的な知識ノウハウと身につけられる
  • (比較的)広い視野を持てる
  • 安定かつ待遇が高い企業が多い
  • (良し悪しだが)裁量が多くて、若手のうちから専門家として立ち回りを要求される

 

デメリット

  • 自社の事業推進という経験が得にくい
  • 労働した時間に対して顧客がお金を支払われるので、自分の仕事が大きな利益を生み出すことがない(スケールしにくい)

専門的な知識ノウハウと身につけられる

支援会社は、支援会社として決まった業務を担当してますし、ある一つの領域に特化して他社と差別化する必要があるので、そこに所属する社員も専門性を高める必要があります。

ITの話だったら、あるシステム、例えば会計システムに強いとか、クラウドといったインフラに精通している、ある言語、開発手法に精通しているなど、自分の強みを限定することによって早く一つの領域に対して専門的なスキルを身につけることができるわけです。

ジョブローテーションが存在する会社もあるかもしれませんが、そもそも会社として実施する事業や業務が限定されているので、顧客や上司は変わってもキャリア自体にはあまり影響がないことが多いと思います。

逆に、いろんな分野や業務を経験したい場合は支援会社は合わないかもしれません。ただ、分業を実施できるのはある程度規模がないと難しいので、短いスパンでいろいろな経験をしたいかたは少数精鋭でやっている小規模な会社を検討するのもありかもしれません(会社の規模が小さすぎると、会社が注力している事業領域が極端に狭いというリスクもあります)。

 

(比較的)広い視野を持てる

個人的に就活で重視していたポイントです。支援会社は長くて5年~10年、短くて半年~1年で担当する業界や企業が変わります。例えば、企業のクラウド移行を支援している人が、去年はある出版会社を支援していたけど、今年は運送会社を支援しているという具合です。

そうすると、ある企業、ある業界ではカオスになっていてよくわからないことになっているけど、支援会社から見ると良いのか悪いのか客観的に判断することができます。そういう経験を積み上げることで自分の専門性において自分なりにこうすればいいというノウハウを得る機会も増えると思っています。

また、支援会社には様々な業界の事業会社から転職してきた方が集まっています。そういった方から多方面の知識を学ぶことができることも支援会社のいいところかもしれません。

 

支援会社はビジネスモデル的に安定しやすい

これは就職してから思ったこと。さらに、いうと支援会社において事業会社的なBtoCの事業の立ち上げに参加した時に感じたことですが、企業のないを支援という形で提供する支援が会社のビジネスモデルは日本社会においてかなり効率的なお金の稼ぎ方だと思ってます。

支援会社のビジネスモデルは本業ではお金を稼いでいるけど、ITで困っている事業会社に対して、本業で稼いだお金を分けてもらいITを提供するというものです。

お金はあるけど、自社のシステムやサービスを構築するノウハウがないという企業にとって、年々重要度を増すITの部分を請け負ってくれるなら、いくらお金を出してもいいから解決してほしいマインドになります。もちろん、競合他社と価格面で争うことになりますが、人と同じで企業もないものねだりなので、自分たちが持ち合わせていないスキルやノウハウには高いお金を払うのです。

さらに、もう一つ収益化の速さと安定性が支援会社のビジネスモデルにはあります。事業会社で何か新しい商品を企画し、製造し、販売するのは利益が出るまでにかなりの時間がかかります。

例えば、メーカーである電化製品を新しく売り出すとしましょう。そしたら、その製品を作成するための技術を研究し、商品設計・開発、生産ラインを構築して、ある程度在庫を貯め、ネットやテレビで広告を出してやっと商品を発売します。

やっと発売したとしても、実際に商品が得られてまとまった売り上げが手元に入るのはずっと後です。そして何年もかけて世に出した物が得れず、売り上げがこれまでのコストを越えなければ赤字になってしまいます。

つまえり事象会社のビジネスモデルでは支払った投資に対して実際にお金を回収できるのはずっと後ですし、売り上げが上がったとしても黒字になるという保証はどこにもありません。

それに対して支援会社のビジネスモデルでは、自分たちの知識や労働に売り上げがつきます。ある知識を持った人が何時間働いたら何円を請求するというように、基本的に労働に対して得られる利益が決まっている”人売り”のビジネスモデルなので、何かミスが行らなければ基本的に赤字になることはありません。

具体的に言うと、50人の人間が100時間働いて完成する予定のあるシステムの注文を受けたら、50人*100時間分の労働コストとマージンを含めた額を請求するします。もちろん、顧客がコストに見合わない額を要求してくることもありますが、支援会社は最初から赤字にプロジェクト原則受注しません。

さらに、お金が入るタイミング基本的にプロジェクト開始時なので、お金がない状態で働くという状態がありません(分割して支払われるといったケースはあり)。なので、確実に自分たちの給料を確保した状態で働けるので、安定します。

ただ、支援会社のビジネスでも、社会全体の事業領域での投資が減少した場合は利益がでなくなる可能性はあります。現在取引している一社だけが、投資額を減らしたとしても、支援会社は複数の会社に対して並行して支援を実施しているのでリスクは少ないですし、余った人員は新しい顧客を獲得するために充てればいいです。ただ、世の中全体で同様に投資額が減った場合は事業会社は自社を守るためにまずは支援会社への支払いを減らします。そうなると、競合他社ともども経営が傾くという可能性はあります。

 

(良し悪しだが)裁量が多くて、若手のうちから専門家として立ち回りを要求される

ここも筆者そういうふうに思っている程度に聞いてください。

若手から見たばあい支援会社のほうが、初期の裁量が大きいように感じる可能性が高いです。というのも、支援会社の社員はある事業に対して専門性を持ったスペシャリストしてプロジェクトに参画します。

そして、顧客からすると、支援会社のメンバーは自分たちよりも優れたノウハウやスキルを持っていて自分たちができないことをしてくれる人という認識で、さらにその相手が何年目の社員なのかは気にしていません。

あえて経歴が浅いことを伝えて、見積もりで若手メンバーに対して支払われる金額を減額する場合はもありますが、そういった経歴は一切伝えない場合も多いです。

となると、支援会社の社員は若い年次あってのほかの社員と同じスキルや裁量で働くことが要求されるわけです。

もちろん、内部では先輩社員が若手社員をサポートすることで顧客の要求を満たせるようにします。さらに、担当する専門領域を狭めることで、限られた業務に対して早く人並みに動けるようになるという工夫も支援会社のやりやすいかもしれません(ここは会社によって全然違うと思いますが・・・)

 

自社の事業推進という経験が得にくい

ここがこの記事で一番大事なところかもしれません。当然ですが、支援会社は事業を推進する手伝いはしますが、事業自体を推進することはできません。

こんなことを言うと怒られてしまいますが、前述したように支援会社で働いていると支援している事業会社の事業の成功について興味を持てないということは多々あります。興味を持てないというかコミットできないというか、ひどい場合だと言われたことだけやって、無難にプロジェクトを終わらせればOKという具合です。

例えば、人事システムを導入したとして、導入後に導入先でそのシステムがどのように使われてどういうふうに業務が改善されたかについてはあまり支援会社は追いませんし、無関心だったりします(もちろん、プロジェクトによってはその後の調査や改善を実施することもあります)。また、新しい受注用のECサイトを構築したとして、そのECサイトでどんなに事業会社が売り上げを伸ばしても、そのサイトを構築した支援会社は当初契約した分の契約金が支払われるだけで、その後の売り上げには全く関係がありません。

もちろん、素晴らしいシステムやアプリケーションを構築すれば、支援会社のブランドや信用が上がり次の仕事に結びつく可能性はあります。ただ、実際は価格の安さや、営業力が仕事を受注できるかに大きな影響があり、逆に支援会社の仕事が事業会社の売り上げにどれくらい貢献したのかという事実はなかなか定量的に評価できないので、支援会社の仕事の質によって得られる利益というのは限定的である場合は多いように思われます。

自分のやり方や思考が正しかった知るために、ある程度長い期間自分の携わったものの評価を追っていくのは、自身のスキルアップには必要なことだと思います。それに、単純に自分が作ったものがどう使われているか知らないのはやりがいを感じにくい状況なのかなと思います。

逆に、契約時に支援会社の職務は明確に範囲(スコープ)が決められているので、その範囲で合格点の仕事をしていれば、携わったシステムやサービスがどんなに悲惨な結果に終わっても最初の契約に明記された金額が相手の会社が倒産しない限り支払われます。

つまり、何か大きなミスがトラブルが起きない限り、仕事が継続的にあれば支援会社は安定的に利益を上げることができるのです(逆に大きな利益を上げることもできませんが)。

ただ、前述したように支援会社といっても、IT企業だったら請負ではない形で、ITサービスを展開していたり、ノウハウの教育を行っていたり、はたまたまったく本業と関係事業を行っていたり、事業会社的な業務を行っていることがあります。

その場合は、もし顧客がつかなければ全く売り上げが上がらず赤字になることもありますし、ドカンと当たれば大きな利益を上げることもできます。

自分の場合はプロジェクトによってはデータサイエンティストして社内のサービスの開発やマーケティングを実施することがありますが、自分たちのためにスキルやノウハウを使うことは、他者のために使うことよりも圧倒的にやる気が出ます。あくまで自分の性格上そう感じるだけかもしれませんが、たまに事業会社で自分の製品やサービスのために働きたいといって会社を去る人がいるので、そういう感情を持っている人も少なからずいると思います。まぁないものねだりかもしれません。

 

労働した時間に対して顧客がお金を支払われるので、自分の仕事が想定以上の大きな利益を生み出すことがない(スケールしにくい)

ここは上と密接にかかわっています。

支援会社のビジネスモデルはよくも悪くも”人売り”です。

一日の労働の価値が、2万円の人が10日働けば20万円が実際に行った仕事の質やその仕事によって得られた利益とは関係なく支払われます。

何度も書きましたが、これが支援会社が安定して仕事を勧められるカラクリで最大のビジネスメリットだと思います。

しかし、前もって決められた利益しが得ることができません。

これが事業会社ならどうかというと、例えばIT企業ならあるサービスを立ち上げるとします。なんでもいいですが、月額500円の家計簿アプリを作成したとしましょう。アプリの構築には開発費がかかるので2000万円かかったとします。開発後も保守や回収、広告のためのコストはかかりますが、1か月100万くらいですかね。

さて、ここまでかかるお金はユーザーが何人だろうが変わりません。運営に使っているサーバー代は利用者によって変化しますが、それはユーザーからとる月額使用料の一部で賄われます。ここでは単純に計算するためにユーザー一人につき50円かかるとします。

となると、ユーザーが多ければ多いほど売り上げは増えていきます。そして、サーバー代以外の費用は固定費のため、利益もユーザーが増えれば増えるほど大きくなっていきます(このサービスだとユーザーが6000人いれば一年間で黒字化できます)。

逆に、ユーザーが増えれば増えるほど、利益はどんどん増えていきます。となると、わずか数十名のメンバーで数億円、数十億円売り上げるようなことも可能なわけです。

この部分をどっちがいいと感じるかは人それぞれだと思います。支援会社のほうが、どんなにいい仕事をしても契約以上のお金はもらえない分。仕事があれば携わったビジネスがうまくいかなくても一定のお金はもらえるため、安定志向の人にはいいと思います。

 

 

ここまで支援会社で働くことのメリット・デメリットを書いてきました。事業会社のメリット・デメリットについてはこの逆だと思ってください。ただ、自分は事業会社では働いたことがないので、そこで働かなければ気づかないいろいろなことがあるのかもしれませんね。

皆さんはどっちのほうが性に合うと思いますか?

まぁ、どんな企業も支援会社的な側面も持ちますし、事業会社的な側面も持っているので、バシッと世の中の会社を支援会社と事業会社に分けることはできません。

ただ、同じ仕事をしていたとしても、支援会社と事業会社で感じること違うと思います。なので、就活での視点の一つとしてこの違いを頭に入れておいてもいいかもしれません。

 

それでは。