アーバンリサーチの服を着たことがありますか?アーバンリサーチといえば、コスパがよく、きれいめで使いやすい服を堅実に揃えているセレクトショップ、というのが一般的なイメージだと思います。
ただ、学生時代私が好きだったアーバンリサーチの服は店舗の少し外れの方で売られている中途半端にストリートっぽい感じで、他では見たことがないというか、はっきり言って変でした。
最近はアーバンリサーチの店舗に入ることも減って忘れていたのですが、リネンブランドのwafuを運営されている、わたぬき社長のYouTube動画で、アーバンリサーチのストリート系の商品を、服飾としては正しくない服と紹介されていたのを見て、逆になぜ自分はアーバンリサーチが好きだったのかと納得したのでまとめてみます。
学生時代、社会人の方にアーバンリサーチの服を着ていることを笑われた
大学に通うために住んでいた家の近くで開催されていた、東京蚤の市のボランティアスタッフをやることがありました。
もともと自分はボランティアをやるつもりはなくて、twitterのスタッフ募集をみて、有給のバイトだと勘違いして応募してしまいました。面接を受けたあと、ボランティアと言われて自分のアホさに驚愕したのですが、せっかくなのでスタッフをやってみることにしました。
今はどうなのかわかりませんが、当時の東京蚤の市のスタッフの仕事内容はめちゃめちゃハードで、前日の準備の含めて朝から晩まで働きっぱなしで異常に疲れました。
参加者へのご褒美も兼ねていたと思うんですが、当日の夜は運営の手紙舎が展開している飲食店を貸し切って懇親会がありました。
ちょっとお高い手紙舎の料理が食べ放題なので、すごくお得なのですが、他のボランティアスタッフの方は、それ以上に東京蚤の市に出展されている出店者の方や作家の方との交流を目当てに参加されている感じでした。
雑貨は好きですが、別に界隈の関係者と話したいというほどではなかったので、料理を爆食いしていたのですが、会場で一人浮いていたと思います。
そんな中、準備の段階から一緒に作業することがあったボランティアスタッフ常連の方に「普段どこの服が好き?」と聞かれました。
模範解答は、それこそ後述のwafu.みたいな国内でデザイナーと職人の方が少数生産しているこだわりのブランドを答えるべきだったと思います。
蚤の市は東京蚤の市以外にもしょっちゅう行っていたので、今なら何となく思い当たるブランドがありますが(別にそこまで好きではない笑)、当時は全く思いつかなかったですし(そもそも国内ブランドなんて買う金はない)、単純にその時気に入ってた服が冒頭紹介したアーバンリサーチのハズレラインの服だったので正直に「アーバンリサーチが一番好き!」っと答えたんですよね。
そしたら、「セレクトショップはやめなよ。というか、よりによってアーバンリサーチ?」と笑われました。
自分が気に入っていた服をバカにされた気がして気分が悪かったです。それでも、その人がセレクトショップで買った服を着ないのは見るからにわかったし、模範解答が何かその時も察しはついたのでしょうがないか・・・と思って流しましたが、今ならアーバンリサーチは、実は売れ線のトレンドに沿った服以外にも、意外と面白い服が売っていると反論します。
wafu.の動画をたまたま見てなぜ自分がアーバンリサーチの服を好んでいたのかわかった
別にファッションに興味があるわけではないですが、たまにwafu.という国内ブランドのYouTubeを見ます。
メインで話しているわたぬき社長という方の話が面白いのと、ビジネス的な部分をお金の話含めて具体的な金額を挙げて説明してくれるのでとても勉強になります。
そこでアーバンリサーチが紹介されてましたが、わたぬき社長の評価はそんなに良くなかったですね。
コスパはいいかもしれないけど、デザインも縫製も値付けももっと真面目にやれよって感じのコメントが多くて、まぁ確かにアーバンリサーチってそういうところあるよねとは思いました。
ただ、サンプルとして購入されてた服が店舗の真ん中で販売されている王道の路線ではなく、敢えて端から選ばれた感じはしました。
取り上げられていた服の中には色違いの2つのジーンズをバッサリ同じ位置で半分に切って、組み合わせを変えて縫い直すことでツートーンの配色違いの2つのジーンズとして売られていたものもありました。しかも、店舗の同じ位置にセットでディスプレイされてたそうです。
面白いけど縫製のセオリーに反しているし、他者と比べることができないから評価のしようがないし、これが流行るわけもない。わたぬき社長からはだいぶ辛辣な評価を受けていましたが、これこそアーバンリサーチの魅力だなと思ったんですよね。
正しいことはみんなやるし、みんなやらないことは何かおかしなことがあると最近思います。つまり、普通が1番ってことですが、アーバンリサーチには毎シーズン明らかに普通じゃない商品が展開されています(はっちゃけ方が許容値を超えている)。
それを、面白いと取るか、価値がないと取るかは人それぞれですが、少なくとも自分は価値を感じました。
ちょっと調べたら大阪が発祥みたいなので、なんとなく関西ノリ的な遊び心があるのかもしれません。
最近はレーベルを細かく分けて、それぞれにターゲット層を設定しているので、大元のアーバンリサーチの店舗にはあまり普通じゃない服は売られなくなった気はしますが、それでもたまにお店に立ち寄ってみると、その遊び心は健在だと感じます。
正しくなれないなら、いっそ社会の欠陥でありたい。そんな学生時代の欲求が満たされた
結局、普通が一番で普通じゃないのは正しくないと書きましたが、アーバンリサーチの服が着たいと思った学生の頃の自分(というか今も)はステレオタイプ的な正しい日本人の人生を歩めないことを自覚して、ならいっそ間違いでありたい。そう思いました。
やさぐれたイメージを持つファッションなら、パンクやストリートみたいな系統の服は着ればいいということになりますが、1つのジャンルとして確立されたファッションは、そういうものとして整合が取れていて供給側にも消費者側にも体系化された正しさがあると思います。
多くの人に支持されることで需要が発生し、それに応えるために作り手が供給する。その流れが成立するということは一定の理論が存在するわけです。
でも、自分が着たかったのは、自分は良さを感じたけど、それには根拠もないし、他の人が惹かれることは決してない。きっと流行ることもなく、来年は企画されることもなく忘れ去られるそんな服でした。
生地や縫製で見たことないと思ったものを選んでましたが、機能性はなかったですね。例を挙げると、キャンバス生地に白い油絵の具を塗ったようなカットソーをめちゃくちゃ気に入ってましたが、触るとなんかベタベタするし、洗うとバリバリになっていくので(そこも味だなと思っていましたが)、手洗いしかできなかったです。
それでも大切に着て3年くらい着てましたが、最後服ごと崩壊してしまいました。
やっぱり、これを商品として売るのは正しくないのだと思いますね。ものすごく安いなら良いですけど、学生の買う服にしてはそこそこ高かったし、それで着る人間に不便をかけて、デザインも万人受けはしないものだと思います。
今もあの生地の服を着ている人をみたことがありません。つまり正しくないから普通にはならなかったということですね。
でも、何回か友人にそれおしゃれだねと突っ込まれたことはありましたし、これ着ていれば普段は行かないおしゃれな街も堂々と行ける気がしました。
結局、普通という尺度で評価されない自由が欲しい
結局自分が何がしたかったのか?そして今も何がしたいのか?というと、体系化されたベストな選択の集合である普通という尺度から抜け出して自由に生きたいのだと思います。
例えば、日本人なら漢字を使うのは普通という感覚のもと、漢字をいくつ読めて、いくつ書けるかを学生時代定期的に測定されて評価される。勉強だけじゃなくて、話すこと、食べるもの、行く場所、あらゆる所作に対して普通という尺度が適用されどれだけ普通なのかという競争が生まれる。
普通に向かう強い引力から自由になるために決して普通にならないものに憧れたのだと思います。
自分しか良さを理解できない、つまり他人には測定不能の価値観を身にまとえば、よりどちらが普通であるか?という比較される日常から逸脱できると感じました。
そのためには、誰もがすぐに見える形で、普通の定義の外で生きていることを示す必要があるので、アーバンリサーチの普通じゃない服は意思表示としてちょうどよかったのだと思います(効果があったのかは定かではないですが)。
それはクラスや職場に何人かはいる変な奴とかグレた奴ではダメで(存在していることは普通なので)、完全に存在しているのがおかしい、認知した人間に違和感を与える欠陥(バグ)である必要がありました。
だから、奇抜であったとしても町を歩いていればそこらへんで出会える特定のジャンルの服ではダメなんですよね。相手が一生で自分以外に出会う可能性がない存在。これまでもこれからも他者を当てはめて理解することができない存在への憧れです。
あんまり、非普通を服で表現することはなくなりましたが(と思ったんですが今でも変な格好をしたくなる時はあります)、そのかわり髪型をセルフカットで工夫したりはしてますね。セルフカットは子供が生まれて美容室に行く時間もお金もなくなったから始めましたが、せっかくならと美容師の方に頼んでもやってくれない正しくない髪型にしてます。
ただ、普通から逃れようと必死になって生きた結果、分かったことは普通が1番という事実は面白いですね。
話が発散しましたが、プロから見たら正しくないアーバンリサーチの変わり種の服も、捻くれた人間には需要があるんですという話です。
最後にまた書きますが、アーバンリサーチの普通の服は普通にいいです。コスパいいし、3万円で買った毎冬売ってる定番のチェスターコートを5年着てますが、全然へたらないしあったかいし普通に買ってよかったと思います。
それでは。



