データ分析学習サイト?スタビジの運営を行っている上野佑馬が書かれた「漫画でわかる デジタルマーケティング×データ分析」を読んだので、その感想を書きます。
データサイエンティストの方が書いたデジタルマーケティングの本ということで、普段IT企業(SIer)のデータサイエンティスト?データエンジニア?としてデジタルマーケティングの支援(と自社のデジタルマーケティング)をし始めた自分には、デジタルマーケティングの概要を理解するにはちょうどいい本と思い、メルカリで買った次第です。
デジタルマーケティングのビジネス側の担当者とエンジニア側のデータ分析者のギャップを埋める本だった
よかったところ
- データサイエンティスト目線でデジタルマーケティングの考え方を非常に読みやすい文章でまとめられていた
- 進研ゼミマンガ風の漫画が入っているので、背景やユースケースが頭に入ってきやすい
- 個人的には、漫画の雰囲気が学生向けの学習漫画やビジネス書の挿絵にありがちな絵で苦手だった
- 軽くだが、AIやITとデジタルマーケティングの関係性について書かれていて、普段はデータを弄っている自分には勉強になった
よくなかったところ
- 考え方について書かれているが、方法や具体的な理論については書いてなかった。webで情報をあつめろ!ということかもしれないが、せめてキーワードだけでも教えてほしかった。
- 例えば、BtoCの店舗の需要予測のModelingに関して、「便利なライブラリを使う」とだけ書いていて、どのあたりのライブラリをあてればいいのかわからなかった。データサイエンス界隈では、scikit-learnやLightGBMが使われるが、こういったBtoCのデジタルマーケティングではどのようなライブラリが使用されるのか知りたい
- 誰でも読みやすいが、誰に向けた本なのかわからなかった。
- 売れやすくするためにターゲットを広げているのはわかるが、実際にデータ分析を担当しているビジネス側のひとも、デジタルマーケティングのコンサルタントも、自分のようなIT側の人間も内容の理解はできるけど、得られた知識を行動につなげるのはこれだけでは難しい
- 書く立場の人間の考え方のギャップを埋めるための本くらいに思っておいた方がいい
実際に、本の流れは架空のスポーツ用品店の店長が、学生時代その店舗のバイトで今はデジタルマーケティングの支援会社をやっている分析者と共に、業務にデジタルマーケティングの考え方を取り入れるという流れで話が進んでいきます。
ありがちな流れですが、シンプルで分かりやすいです。ただ、自分のビジネスにどう適用するかを考えるのは結構難しいと思います。実際この本を読んでいる人は、ここで紹介されているような小さな商店を営んでいる経営者みたいな人はなんまりいないんじゃないでしょうか?
実際の読者は少なくとも社員100人以上の会社でマーケティングの担当になった人とかじゃないでしょうか?さらにこれは自分の事情ですが、自分の周辺ではBtoBマーケティングの側面が強いプロジェクトが多いので、さらに話が違ってきます(まぁこれはBtoCとBtoBでは話が別だと思うのでしょうがないですけどね)。
とうことで、やっぱり最初に概念をざっと頭に入れておくとための本かもしれません。
DMBOKやCRISP-DMについても触れられている
DMBOKやCRISP-DMといったデータ分析に関するフレームワークについて、デジタルマーケティングに適応するという視点で整理されています。こちらの概念は筆者が運営されているwebサイトでも解説されていますが、データ分析やITに知識がない方がこれらの概念を理解(存在を認知?)するにはちょうどいい内容ではないでしょうか?
自分はDMBOKやCRISP-DMはよく聞きくもののちゃんと勉強したことはありませんが、この本の中にその実践方法が解説されていると感じます(エアプで何言ってんだ)。
さらに、題材として自分も含めて多くの人がアクセス可能なデータであるwebのアクセス情報を扱っているのもいいと思いました。データサイエンスとweb解析を一緒に解説しているコンテンツってそんなにない気がしますが、需要はあると思うんですよね。
自分の自社サイトのアクセス情報はよく触りますが、データサイエンティストとして顧客企業のサイトのアクセス情報を分析したことはありません。データサイエンスとwebマーケは別概念と思っている人が多いのかもしれませんが、webマーケの世界でもデータサイエンスの手法や考え方は重要だと思うんですよね。そこに答えを出してくれたのがこの本だと思います。
BtoBマーケティングに活かせるか
BtoBマーケティングを普段やっている人がこの本を読んで意味あるかという話ですが、自分のように概念を理解したいのでしたら、十分目的は達成できると思います。それに、基礎的な部分はBtoCでもBtoBでも変わらないんだなと思いました。
ただ、具体的な応用例はBtoBでは当てはまらないなということが多かったです。BtoCマーケティングは派手で面白そうだなと感じちゃいました。
もともと筆者は大手BtoC企業で、データ分析を行っていたそうなので、ここら辺は仕方がないと思います(そもそおBtoC向けに本を買い書いた方が読者が多いですしね)。それでも、筆者のサイトはたまに見ますが改めてちゃんと読んだ方がいいなと感じました。
そんなところですかね。買って損はないと思います。
それでは。