理系大学を目指しているけど、社会科目も一つは必要な高校生によくおすすめされるの科目が地理です。

センター試験でも理系が地理を受けるのは定番でしたし、今度実施される大学入学共通テストでもこの流れは続くのではないでしょうか。

そもそも、なぜ地理が理系におすすめされるかというと、論理的思考を使って問題を解くことができるから、そして思考力が鍛えられるから。

だから、普段から勉強法として必要最低限の知識を頭に入れたら、教科書や参考書の答えを暗記するのではなく、自分で考え抜いて回答する習慣をつけるといいです。そして、答えを見て回答が間違っていたら、解説を読む前になんでその答えにたどりつくのか理由を考えてみましょう。

もちろん、全く知識を入れなくていいわけではないです。しかし、地理的現象や文化がどのように形作られてきたかを推測して答えを出すプロセスは、理系の人間が研究で用いる論理的思考そのもので、基本の知識を身につけておけば思考プロセスを鍛えることでどんな問題にも対応することができます。

歴史や政治にも論理的思考が役に立つことは否定しませんが、思考することに対するウェイトが社会科目の中で圧倒的に大きいのが地理の特徴です。逆に世界史で思考している時間があったら、暗記したほうが早いし、感情に関する要因が大きくて、プロセスもあまり論理的とはいえないのではないでしょうか。

さらに、高校の地理学という学問は、大学で地理という名称を付けられているところは少なく、大学でいう地学、気象学、民俗学、環境学など、理系の学科も含めた様々な学問が集まっていて、理系らしいところも多いです。さらに、大学によっては地理学科を理学部に置いているところさえあります。

ここまでで、地理が理系的であることは分かっていただけたと思います。ただ、僕が地理を暗記に頼らず、論理的に思考で解いた方がいいと思っている理由はもう一つあります。

それは、大学に入ってか地理で鍛えられた論理的思考が役に立つからです。

理系大学生のお仕事はとにかく考えること。研究室では指導されることが極端に減り、頼れるのは己の思考力だけになります。

さらに、最近就活でフェルミ推定やケース問題を出す企業がありますが、参考書で紹介される推論のためのフレームワークは地理の解法そのものだったりします。

 

 

地理の勉強に統計集を読む必要は全くない

 

地理の統計を暗記するために統計集が売られていますが、全く読む必要がないと思います。統計自体を読む必要がないわけでなないですが、統計集の統計はデータを網羅しているだけで、近年の問題のトレンドや各情報のつながりを意識してないデータなので読んでも無駄なところが非常に多いです。

統計は教科書の中や普通に問題演習していたり、センターの過去問を解いていれば出てくると思います。問題を解きながら統計の読み方を練習したほうが効率的です。

統計を読んでいる時、必ずなぜこのような傾向が表れるのか考えてください。問題に出されるデータは特徴的な傾向を持っていることが多いです。そのほうが問題にしやすいから。出題者の意図を読み解くのも地理の勉強では大事なことです。

例えば全国の主要漁港の水揚げ量に関する統計を目にしたときに、千葉県の銚子と静岡県の焼津が上位に来ていることから、消費者への輸送コストの削減や鮮度を保つために人口が密集している首都圏に近い方が港の発展には有利なことがわかります。

また、上位の港がほぼ太平洋に面していることから、日本の漁業は遠洋漁業の割合が高く広い漁場に面している港の方が水揚げ量多いことがわかります。北海道でありながら、釧路が高順位なのは高緯度の広大な漁場でタラやサンマなど寒冷な地域に生息している魚を狙っていることがわかります。また、昆布などは加工して使うので鮮度を気にする必要がないですよね。

この思考プロセスを逆に回せば、もし統計データに穴が開いていたとしても、そこにどのような特徴もった選択肢が入るのか予想がつくのです。

たしかに、今の推測でも各港の位置や遠洋漁業の割合などの知識が必要でしたが、これは教科書に書いてあるレベルで、これ以上の知識は必要ないと思います。

気候に関する問題も、大地のでき方や、雲のできる仕組み、風の発生メカニズムを知ることでかなり汎用的に問題を解くことができます。

世界の文化に関する問題は、民族の移動の歴史や戦争など世界史に関する知識が必要になることがあるので、歴史に関する知識は積極的に覚えてもいいかもしれません。

 

 

汎用的な問題に対処できるようにする

 

いくら思考力を向上させても、漁港についての問題しか解けないのでは意味がないです。一つの思考プロセスで文化、気象、経済といった様々な分野の問題を解けるように勉強することが重要だと思います。

さらにいえば、地理に留まらない汎用性が必要です。論理的思考を身に着けて、物理や生物、そして大学での学問に通用する力を身に着ければ、地理のある一問のために使った勉強時間から一生恩恵を受けることになります。

正直、暗記で身に着けた知識はテストでしか役に立ちませんし、もしその知識が入試で出題されなければ勉強したことが無駄になります。思考力は一生必要ですが、地理の知識がなくても生きていけます。わからないことは検索すればいい。

それに、絶対考えて問題を解いていたほうが楽しいです。暗記はつまらないですし、効率も下がります。

 

 

何も見ないで白地図に知識をまとめる練習をする

 

ただ、さっきも言いましたが、全く知識を入れる必要がないわけではないです。

論理的思考は0から1は生み出せません。ただ、1から2を、2から5を、5から20を、20から100を生み出すのが論理的思考です。

つまり、100の物事を知るには、少なくとも20の知識は必要なのです。

その練習と100生み出せるかの確認としておすすめの勉強法が白地図を埋めることです。地域別の白地図にテーマ(気候や文化、宗教など)を決めて、入試までに必要なことを余白がなくなるまで書いていくんです。

定番の勉強法ですが、ここでも論理的思考を意識してください。

白地図で確認することは2つ。まずは自分が埋めたい100の内容に対して、ちゃんと20の知識が入っているか。そして、20の知識から正しいプロセスで残りの80のことにたどり着けるか。

最初はどんなに時間をかけてもいいから、何も見ずに頭の中の知識と思考だけで白地図を埋める努力をしましょう。で、どうしても必要な知識がわかってから、調べるようにしてください。

入試が近づいてきたらテキパキと埋められるようにしましょう。

例えば気候に関する白地図だったら、地球全体すべての気候区分を埋めることを目標にしてください。暗記ですべて覚えるのは非効率ですが、地球の気候がどのように決まっていくか理由を含めて考えることができたら、自然をすべて埋められるはずですし、気候の問題はだいたい解けるようになります。

自分の話をすると、センター形式の問題で90点以下はとったことないですが、常に白地図を持ち歩いて、時間のある時や授業で一つの単元を終えたとき白地図を埋めていました。何度か書き直しましたが最終版は20枚くらいあったと思います。

 

地理は暗記科目ではないと書きましたが、文系科目だろうが理系科目だろうが、突き詰めれば暗記とか思考とかどうでもよくなると思います。ただ、思考力を極める練習として、早い時期から暗記に頼らず問題を解く癖をつけるといろいろといいことがありますよ。

 

それでは。

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