全然”趣き”が異なるプロジェクトのタスクを複数抱え込んで、どうにもこうにも回らなくなった、とあるIT企業で働く社会人2年目がシングルタスクを読んだ感想文です。
マルチタスクはぞんざいしない、存在するのはタスク・スイッチング
自分は一度に複数のことが苦手で、マルチタスクをするとどうしても効率が下がってしまいます。
2時間かかる二つのタスクを同時にやって、両方で4時間以内に終了できればマルチタスクの効果はあるし、3時間で終われば万々歳という感じですが、実際は4時間以上かかってることの方が多いと思います。
しかも、タスクを同時に複数抱えると精神的な負担が大きいです。マルチタスクを4時間やったら、その日のための気力はそこをついて、その後の仕事は苦痛でしょうがなくなります。
ということで、この本を読むことにしたんですが、冒頭でそもそもマルチタスクは存在しないと言われてしまいました。
人がマルチタスクだと思っているものは、複数のタスク間を行ったり来たりするタスク・スイッチングだそうです。
この話を読んですぐに、聖徳太子は同時に複数人の話を聞けたんじゃぁ・・・と思ってしまいましたが、人間が注意を同時に複数の箇所に向けているとき、実は頭の中を切り替えているというわけです。
これには自分も心当たりがあります。マルチタスクをやっているとき、作業は全て同じPC上でやっていて、タスクが変わる度に使っているアプリケーションのウィンドウやブラウザのタブを切り替えます。
モニター上のウィンドウが切り替えるのは一瞬ですが、作業を始めるまでは2、3分のタイムラグがあるんですよね。
その間に切り替えた先のタスクを実行するのに必要な知識を思い出したり、それまでやっていたことを画面上から拾おうとしてるわけです。それをしないとどうしても次の作業に取り掛かることができないんですよね。
つまり、同時にこなしているつもりが、わざわざ一塊のタスクを自分で細切れに分解して、一つのタスクが終わるたびにいちいち頭をリセットしていることになります。
このタスクの割り込みによって生じる頭のリセットからの復旧時間は人によって異なると思いますが、僕は1分から3分くらいはかかってしまいます。
だから、自分はマルチタスクに向いてないと感じるのではないでしょうか。一回3分かかるタスク・スイッチングを10回やったらそれだけで30分たってしまいます。
だったら、キリがいいところまで一つのタスクやり続ければいいということになります。
逆にこの本ではその存在は否定されてますが、一瞬で頭を切り替えられる、もしくは別のタスクをやっていても、前にやっていたことを覚えておける人は別にマルチタスクをやったって問題ないのではないでしょうか?
ワーキングメモリという考え方
この話はこの本には一切書いてなくて、ここからしばらく完全に僕が、ふと思ったことを書こうと思います。
自分が、大学院時代取り組んでいたテーマなのですが、人間の短期記憶よりも短い情報保持機構としてワーキングメモリというものがあります(最近大学院時代の研究が論文として掲載されました)。
いきなりなんの話?という感じだと思いますが、このワーキングメモリは今実際に作業で使用している情報が記憶されていて、数分と経つと消えてしまいます。
消えてしまったら、その作業をしていたことを想起してもう一度脳内に刺激を溜める必要があります。
人のワーキングメモリの容量と持続時間には個人差があり、トレーニングで改善することができます。
例えば、暗算の天才少年は一度に何桁もの数字を瞬間的に記憶することができますが、特別な訓練を積んでいない一般人は数桁が限界です。
で、マルチタスクの話に戻ると、マルチタスクの効率はこのワーキングメモリの性能に依存しているなと感じました。マルチタスクをしていてもワーキングメモリに情報が溢れなければ瞬時にタスクを切り替えることができます。
ただ、一つのタスクあたりの情報量が増えればあっという間にワーキングメモリは溢れて、前にやっていたことはどこかに行ってしまいます。
だったら、マルチタスクをするためにワーキングメモリを鍛えるのは諦めて、シングルタスクしたほうが効率がいいように思えました。
(というエセ脳科学のお話でした)
マルチタスクは自分と他人に迷惑をかける
マルチタスクの弊害は仕事の場だけではなく、プライベートにもあるそうです。
ここで、ハッとしたのは最近の終業後に二つのことを同時にやること、つまりながら作業をやっていることが多いなと思いました。
僕は、趣味と呼べるものがyoutubeを見る、オンラインゲームをする、フットサルをするの3つなのですが、最近時間がなさすぎて、youtubeを見るとオンラインゲームをするを同時にやっていることが多くなりました。
学生時代から見ている(高校生から)youtuberの毎日一本上がる動画を今日も見たいけど、オンラインゲームもどうしてもしたい、でも1時間後には寝たい。
そんなとき、タブレットでyoutubeを見ながらテレビの画面でゲームをやってます。
初めはなんて効率的なんだと思っていましたが、最近それをやるとやけに疲れるんですよね。
それに、ゲームの戦績も悪くなりました。初めはプレイ頻度が減ったから少し腕が鈍ったのかと思いましたが、youtubeを見るのをやめたら戦績が元に戻りました。
ついでに、オンラインゲームなのでネットの向こうには他人がいて、全員が同時にやる操作を僕がしないと、他人を待たせることになるのですが、youtubeに夢中になりすぎて、操作が遅れて他人を待たせてしまっていることが多々あるんですよね。
そんなこんな、ながらをやっている時の僕の充実感はかなり低いです。逆にフットサルをしているときはスマホはフットサル上のロッカーにしまってるので、否応なしにフットサルに集中できます。それが理由なのかフットサルをしている時の充実感はゲームをしている時よりも高いように思えます。
そういえば、この間の旅行でも行く途中の車で、スマホのレコメンド機能でおすすめされた、仕事に関するニュース記事を読んでしまった気もします。
久しぶりにあった仲間と楽しく話すはずだったのに、今考えるとずいぶんもったいないことをしました。
ということで、マルチタスクは自分も疲弊するし、他人に迷惑をかけるんですよね
マルチタスクvsシングルタスクの戦いは昔からあった
マルチタスクがいけないという考え方は、今この本から始まった話ではなく昔からあったと思うんですよね。
例えば、自分の家は全くそういうことはなかったですが、ご飯中はテレビをみてはいけない家があるという話を聞きますし、自分の父親はよく母方の祖母に仕事中口笛を吹いていて怒られていました。
ただ、さっき出た聖徳太子みたいに同時に仕事をこなせる人への憧れみたいのも昔からあったのだと思います。
それがなんで、今になってシングルタスクを解いた本がバカ売れするようになったのかというと、それは仕事の現場にインターネットとPCが浸透して、さらにテレワーク化によって、ビジネスの主戦場がネット上のプラットフォームに移ったからだと思います。
昔、マルチタスクといっても限度があったと思うんですよね。例えば会議中に作業できることって、手帳のスケジュールの管理とか資料の読み込みとか、別のタスクをやるにしてもできることは限られていました。
それが、今は書類もかけるし、ネットも見れるし、コーディングだってできる。
そうなると、マルチタスクの限界がなくなって、どんなタスクも何個でも同時に抱えることができてしまうわけです。
そして、できるんらならして当然みたいな雰囲気も流れ始めたのだと思います(テレワーク実施前の職場を知らないけど笑)。
仕事中に口笛を吹いていてもさっき出したワーキングメモリはほとんど消費されないし、聖徳太子が同時に聞いていたはなしは、仕事としては陳述聞いてたり、報告を聞いていたり、話し手が違うだけでやっていることは同じだったと思うんですよね。
それが、全く異なるタスクを同時にやらないといけなくなったわけですからそりゃ今の僕みたいに疲弊するわけです。本を読むまでもなかったですね。
余談ですが、どうしてこうなるかというと、仕事の行為者は人からPCに移りまいたがPCはマルチタスクが得意で、マルチタスクが苦手な人間がそれに合わせる必要が出たからだと思います。
それもそのはず、最近のPCは16GBとか32GBとか莫大なメモリを有してますし、処理を行うCPUもマルチコア化が進んでいて、一つのPC一が8個も16個も頭脳を積んでいるわけです。
そのPCをフル活用すべく人間がそれに合わせた結果、過度なマルチタスクが広まったんだと思います。
だって、そこそこのPCを持っていれば理論上はマルチタスクができてしまうので、あとはどうタスクを並列かするのか競争という話になるわけです。
本書に書かれていた実践したいと思ったこと
とはいえ、現代においてシングルタスクを実践するのは相当なテクニックが必要です。ということで、ここからは本に書かれていて実践したいと思った話をまとめます。
今やっているタスクに必要のないウィンドウ、タブは閉じる
最強のマルチタスカーPCですが、人間がそれについていくのは不可能です。
とうことで、今やっているタスクと関係ないアプリケーションのウィンドウは閉じて、ブラウザのタブ消しとくのいいそう。
そうすれば集中力が途切れることなくキリのいいところまで仕事を進められます。
バックグラウンドで動いているアプリケーションは見えないようにしておいて、余計なプッシュ通知は全てオフで。
1分以内に片付く割り込みタスクは即行う。10分以内に終わるものはそのタスクが片付いたらすぐにやる。それ以上のものはいつやるのかスケジュールを調整して取り組む
僕が、例えばチャットで頼まれたタスクをすぐにやりたくなるのは、やることを溜めたくないんですよね。ということで、明確な基準をもうけるという話がありこれは即実践してみようと思いました。
1分以内に終わるのだったら、本当に1分以内に終えます。
で、それ以上で10のものだったら今やっていることが片付いたらすぐやります。
それ以上が改めてスケジュールを見てからいつやるか判断し、相手にはいつやるかを伝えておきます。
こういう基準を設けておけば、いつやろうか悩むことはないわけです。これはいいことを聞きました。
とうことで、シングルタスクの本でした。
といっても、シングルタスクでも今抱えているものを全部消化するのは無理そう。
最初は無理するのもありかなと思っていまいたが、他人に迷惑をかけないためにも、よくわからないから全部やてみるは卒業しないといけないのかもですね。
それでは。