大学院卒業時に回顧録として書いた記事に、母校の学部生から在学中にインターンに参加したいがどうしたらいいか、というコメントが来ていました。

その方は、どうやらIT企業で技術系の有給のインターンをやりたいようだったので、大学の勉強にも就活にもその後のキャリアにもメリットがるからぜひチャレンジしてみては!とコメントしました。

ただ、有給タイプのインターンにはメリットだけではなく、デメリットもあると思うんですよね。そんなことを書いていたらだいぶ長文になってしまいました。

そのコメントは質問者の方に読んでいただけたのでしょうか?

ということで、この記事では、大学のインターンには大きく分けて二つのタイプがあることと、社会人3年目が思う有給インターンのメリットとデメリットをまとめたいと思います。

 

情報系の学生が参加できるインターンシップは大きく分けると2つある

 

情報系の学生向けのインターンは大きく分けて2種類あると思ってます。

1つ目は、企業が採用のために実施しているインターンで、だいたい無給で短期か中期のものです。世間一般で言われているインターンはこっちですね。

2つ目は、企業が実際に働いてもらうために実施している(採用目的もある)、給料が出るの長期的なインターンになります(アルバイトとしているところも多いですね)。

1つ目の企業研究が目的のインターンは基本は就活前に参加するものだと思っています。ただ、気になっている企業や業界がある場合は2年生の夏などに参加してみて、必要とされるスキルや人物像を探ってみてもいいかもしれません。

さらに、1つ目のインターンを分類すると、大学側が斡旋しているものと、企業が募集しているものがあります。

2つ目の実際に労働力として働く有給のものは、いつでもチャレンジすることができますが、ある程度の必要とされる要件を満たしてないと採用されないと思います。

例えばソフトウェアの話だったら、指定されているプログラミング言語がかけるとか、そこで使われるアプリ開発用のフレームワークの利用経験があるとか。

ハードウェアに関してはあまり聞きませんが、使われる設計ソフト(CADやCAEなど)の操作経験がある、デザインなら2Dならillustratorとか?、3DならBlenderとか?の使用経験でしょうか?(すいません、業界違いなので分かりません)

企業側が採用目的で学生を集めるているインターンなら、入ってから活躍してもらうために多少技術について教育してくれますが、即戦力として働いてもらいたかったり、若い柔軟な思考を取り入れたいと思っている場合は、あまり教育には時間をかけられないので、最低限のスキルは有給の場合は必須なことが多いと思います(ちゃんと調べているわけではないですし、教えてあげるよというスタンスのところも聞いたことないわけではないです)。

 

筆者の学生時代の経験は

 

筆者が学生の時はどうだったか?という話ですが、

まずは、3年生の夏に大学の紹介で某メーカーの開発部門に1か月半インターンに行きました。これは業界研究がメインの目的の無給のインターンで1か月半参加したのでそこそこ業務を体験することはできました。ただ、自分のスキルと興味がやっていることとあまりマッチしてなくて、面白い経験はできたけど、有意義とは言えなかったと思います。

2回目のインターンはM1の時で、先生の伝手で台湾の工業技術院という国営の研究所に3か月間行きました。有給でしたが、どちらかというと日本の若い研究者に来てもらおうという共同研究に近い趣旨のインターンシップでした。

自分で選んだテーマでしたし、今も大体同じような業界で同じようなことをしているので、ここは自分のキャリアの重要な転機になったと思います。

台湾では日本のある自動車会社と共同研究という形でAI(画像処理系)で技術支援というテーマをやってましたが、今もその競合の会社に同じようなことやっています。

就活の際もこの時の経験を話せば、簡潔に自分の能力を企業側に伝えられるし、相手のやっていることも理解しやすくなりました。

このほかにも、就活時には短期のインターンを3社ほど行きましたがこちらはほぼ企業研究のために参加したものです。

自分は2つ目にあげた労働力として働くタイプのインターンは経験したことがないですが、同じサークルに所属していた友人が学部4年の2年間インターンとしてwebサービスを運営していた会社で働いていました。ほぼバイトという感じで、週4くらい働いていたと思います。で、そのままその会社に就職してしまいました。

今働いている会社でも半年から一年週2、3日インターンやアルバイトとして働いていたという人は結構いて驚いています。自分の今いる部署にも1年間休学して違う部署でインターンと働いていて、卒業したら配属は変わったけど、そのままうちの会社で働き続けている人なんかもいます。

 

有給のインターン(アルバイト)をどう思うか

 

働き出してから、大学生活で有給のインターンをやっていた人たちの話を聞いていると、もし大学生に戻れるなら、実際にやっていたスパーのレジ打ちじゃなくて(それもそれでよかったけど)1年くらい、技術系の有給のインターンをやってみたかったなと思ってきます。

ただ、ここからこの記事の本題ですがいろいろ総合して考えると、有限で貴重な学生としての時間をインターンに費やすかは少し慎重になってもいいかなと思います。

ただ、結論から言ってしまえば学生ですし、インターンシップある程度人気を区切って参加するものなので途中で辞めようと思えばいつでも辞められるし、どんな経験は後々絶対に活きてくるので悩んでるならやってみたほうがいいと思ってます。

 

有給のインターンのメリット

なんといっても、就活の観点ではこの経験は絶対有益なものになります。

まずは、単純に有給のインターンをやっているだけで能力の証明になります。まったく違う業界のアルバイトやインターンだとあまり響かないですが、同じ業界でそこそこの期間、お金を払って働いていたとなれば、最低限の能力があることの証明になりますし、競合の企業で働いてた学生を雇えばそこでの経験を活かしてこっちでも働いてくれると勝手に面接官は想像します(畑違いの業界でも面白いと思ってもらえるはずです)。

さらに、自身の企業を選ぶ目が養われることも大きいです。実際に働くことでどんな業務をどのくらい技術を使ってどのくらいの熱量でやっているか理解することができます。その経験を持って企業の人の話を聞けばその話からある程度のイメージはつかめるし、盛って話している人がいても、ほかの人よりは実情を想像することができます。

さらに、インターン先の人に今選考を受けている企業で働いている人がいればその人から企業の内情を聞けますね。

あと、これは有給のインターンに限った話ではないですが、合ってない仕事や業界なら見切りをつけてやめてしまうこともできます。

自分が最初に参加したインターンは無線機の設計でしたが、インターンを通して興味がないことをがわかり、大学院では専攻変えました。

でも、就職してから業界を変えるために、転職したり学びなおすのはかなり労力がいりますし、リスクを負うことになります。

逆に、企業の人からすると、一度経験してそれでも懲りずにこの業界で働こうとしているなら、うちに就職しても頑張ってくれると思うのでその人を雇うことに安心感があります。

あと、実際に世の中でどのように技術で金が生み出されていくのか、早い段階で体感できるのもいい点だと思います。大学での研究と企業での経済活動がどうかかわっているのかを理解すると勉強するやる気もでると思いますし、企業が大学の先生たちの知識を得るために、高い共同研究費やコンサル料を払っていることを目の当たりにすれば自分の環境のありがたみも湧くのではないでしょうか。

 

有給のインターンのデメリット

最後に一番重要なことを書きます。

あくまで想像ですが、有給インターンをやっていると、働いてる時間以外にも自己研鑽にあてる時間も多くなる可能性が高いと思うので、大学での活動との両立で苦労する可能性は高いと思います。かといって、サーバーの監視や、古典的なプログラムの実装といった難易度が低い業務だと就職に活きるスキルが得にくいのでバランスが難しいかもしれませんね(まぁ、お金が稼げればいいと割り切るのもありですが)。

先ほども少し書きましたが、研究のプロフェッショナルかつその分野の世界的権威である大学教授の下で研究を続けられるのはかなり恵まれた環境だと社会人になって思います(自分は就職しないと先生たちのありがたみがわからなかったです)。

たしかに、研究室やゼミのテーマは社会で必ずしも役立てられるものではないですが、何か一つのことを深堀して極めておくという経験が大学では一番大事なことだと思うのです。

一度、学生としてある深さまで極めた経験をもって、ほかの新しい分野に立ち向かったときにその経験から効率的かつ最速でそれを極めることができる、それが大学生や大学生院生の強みだと今は思っていますが、有給のインターンをやっていると研究室にかけられるリソースが減ってしまうのではないかと、老婆心的な感じで心配になってしまいます。

それにインターンのために成績が下がってしまっては元も子もないので、有給のインターンを希望するなら2年の終わりくらいにインターンに挑戦してみて、研究室配属前に辞めてしまうのがいいかもしれません。インターン先には少し申し訳ないことになるかもしれませんが、インターンはあくまで学びの機会だと思ってください。まぁやって一年間がちょうどいい期間だと思います。

もちろん、プライベートの面でも大学生生活はほとんどの人が2度も経験できないので、バランス感覚は重要です。

 

大学生の有給のインターンに対して、3年目の社会人が思うことでした。

これを書いたのは、ブログに大学の後輩から質問をもらったからだけではなく、採用活動的な流れで、就活生と面談することがあって、その中で自分の業界をリードしている有名なベンチャーで1年間働いていた方と話して、猛烈にここで働いてほしいなと思ってしまったからです。

自分の曇った目ではその人の内面やポテンシャルは見抜けないので、その人の経歴に反応してしまいました。

ただ、それだけで十分すぎるくらいその方はその経歴で能力を証明していますね。まぁ、おそらく引く手数多でしょからうちにはきてくれないと思いますが。

もし、日本でまた就職氷河期が訪れたらその業界の先進的な企業でインターンをしたことある人しか内定がもらえないという状況が来るかもしれません。アメリカではすでにそういう状況だったと聞きますし・・・。

でも、新卒採用で問われるには経歴じゃなくて、ポテンシャルだと思うんですよね。まぁ、見抜ける自信がないと経歴に飛びついてしまうわけですが。

人を見抜くためにも経験がいるということでしょうか?

 

それでは。