以前このサイトで記事を書きましたが、行きたい研究室に入るには早く動くに越したことはないです。

でも、行動を起こすにはまずどの研究室に入りたいのか決めなきゃなりません。

行きたいところに行くのが一番ですが、研究内容を調べていてもピンとくるものがなかったり、良さそうだなと思って見学に行ったら先生がダメだったり、なかなかここに行きたい!と感じる研究室が見つからない可能性は大いにあります。

一番の基準は研究内容なのは確かですが、先生や先輩の人柄や、学生の生活習慣(ブラックかホワイトか?夜型なのか普通なのか?)なども内容と同じくらい重要な要素になってきます。

そして、研究室に入る前の学生が見落としがちなのが、その研究室が研究室としてうまく動いているかということです。

ということで、今回の記事はなぜうまく行ってる研究室に行かなくてはならないのかという話とそれを見分けるためにKAKENというサイトを見た方がいいという話を紹介します。科研のサイトの話だけ読みたい人は下まで読み飛ばしてください。

一番、重要なのは研究室がうまく行ってることかもしれない

部活や、バイトに重きを置いていて、研究室はホワイトなところがいいと考えている学生が、定員の関係でブラックなところに行ってしまうという話を耳にします。

そんなにソースが多いわけではないですが、意外にもその学生の研究室での生活の満足度は高いことが多いです。もちろん、最悪と思ってしまう人もいますが・・・。

その差は何なのかというと、入った研究室がうまく動いている研究室かどうか、ということです。

ブラックな研究室には2種類あります。一つ目は論文出版や学会発表大量にこなしていて、仕事が多すぎてブラックになっている研究室。そして、もう一つが成果が全くでないので、学生に結果を求めすぎてブラックになっていった研究室。

両者に中間は存在せず、研究室に所属経験のある人間が見れば、どっちかは軽い情報収集で見分けられます。でも、学部生には難しいです。

前者のうまく行ってるブラック研究室に行った人間は研究室に生きがいを見いだして、研究室での日々に満足する人が多い(気がします)。部活やバイトい重きを置く人間は何か集中して成果を出すということが好きな人間で、そういう人にとって研究をすることで具体的な成果が表れる感覚は面白いと感じるのではないでしょうか。部活に例えたら、活動的な研究室は強豪校の部活みたいなものですから。

それに、研究室の成果というものは、就活や金銭面でいろいろなメリットがあります。打算的で勉強が嫌いな人も、研究することが目先の利益につながるというのは悪くないのではないでしょうか。

ただ後者の研究室では、そもそも仕事が存在しているわけではなく精神的に研究室に拘束される研究室です。やりがいを見いだすのは難しいと思います。やっぱり、人は成果が見えないことには努力できないものです。

先輩や自分の先生が結果を出していれば自分いずれそうなるというイメージが付きますし、その背中から多くのことを学ぶことができるものです。でも、うまくいってない研究室には反面教師しか存在しないので、学ぶことがないわけではないですが、自分が成長しているという感覚は味わえないと思います。

そうなっていくと、もともとやる気のなかった人は不満がたまる一方ですし、頑張ろうと思っていた人は絶望することになります。

たまに、成果のでない研究室で自分がこの研究室を盛り上げていこうと意気込む人がいますが、無理です。思い上がらないでください。アカデミアの世界というものは、学部生や修士の学生が何とかできちゃうほど甘くないです。

有名な科学者の中には、若くして成果を量産する人がいますが、その人は天才か周りの環境をうまく使った人です。純粋科学の場合は己の思考力では何とかなるということはあるかもしれませんが、現在のいろいろと込み入った研究では一人の才能だけで結果が出てしまうというのは考えにくいです。でも、自分の置かれた環境をうまく選択し使える人は早いうちから結果を出せると思います(自分が出せないのでわかりませんが笑)。

教授は万能ではない

研究室運営には、たくさんの人やお金が関わってきます。だから、その運営にはある種の経営的な能力が必要とされます。大学教授だからといってその人が必ず優れた経営者であるわけではありません。というか、皆さん容易に想像がつくと思いますが、大学に在籍している研究者ってある意味オタク的な側面をみんな持っているので(偏見)、むしろ経営者には不向きな人種なのかもしれません。もちろん会社じゃないのでそんな高い経営力なんて求められていないし、教授まで登りつめた人の多くは研究室運営関するノウハウをたくさん持っていることも確かなので、そこまで心配することはありませんけど。

じゃぁ、科学者としての手腕どうかというと、教授だからといってみんながみんな科学者として優れてるというわけではないんです。いろいろ事情はありますが、”研究力”のない教授もいないわけではないと大学生活を経て気づきました。

結局のところ、研究室がうまく動くために一番重要なことは先生の研究者をしての手腕です。研究室によってはそこを研究室内に所属する助教やポスドクに頼っているところもあるかもしれませんが、助教はポスドクはいなくなる時はあさっりいなくなります。

それに、外部からやってきたのではなく内部から上がってきた人間の能力はその研究室の先生から受け継いだものです。これが修士、博士も同じです。確かに、直接的な指導は先輩や助教から受けるかもしれませんがそのソースはその研究室の先生です。

ここでいう研究手腕というものは、単に知識というわけではなく、思考手法や実験に対する感覚、そして研究をどの方向に進めていけば成果が出るのか見極め、他人を引っ張っていく指導力のことを言っています。

外部から優秀な人がくればいいという考え方もありますが、いい先生のもとで学んだ人がそうじゃない人のもとに来るというのも考えにくいですね。

KAKENというサイト

先生たちにしてみれば、学生がこのサイトを見るということは恐ろしいことかもしれませんね。それにやみくもに先生の名前をこのサイト検索することは失礼なことかもしれません。研究室選び以外では使わないようにしましょう。

KAKENー科研とは何かというと、という国内で一番メジャーな助成金の略語です。

別に科研費だけが研究資金の供給源というわけではないですが、2500億円もの国家予算がこの基金の運営のために投入されていて、その歴史も戦前にさかのぼれるという由緒正しい助成金なのです。

うちはほかでもらってるから特に申請はしてないよってところもあると思いますが、共同研究者同士でまとめて科研費に申請するという場合も多いので、一切科研費に関わってないという研究室は少ないのではないでしょうか(ごめんなさい知識不足です)。

で、KAKENは科学研究費助成寄稿が運営している科研費の運用状況を公表しているサイトなのですが、このサイトのすごいところはこれまでの科研費に関わりのある全研究の詳細と成果。そして、科研費がその研究者に払ってきた助成金の全額が公表されているのです!!

ResearchGateやResearchMapといったこれまでの研究者の功績をまとめたサイトはありますが、お金のことまで載っているサイトはありません。

一つ注意してほしいことは、あくまで科研費と関係あることしか書いてないということです。ちゃんと動いているはずなのにKAKENに何にも書いてない人はほかにパトロンを持っているのかもしれません。

でも、とりあえず毎年安定して論文などの研究成果を出していて、お金もちゃんともらっているという研究室はちゃんと機能している研究室です。安心してください。

どれくらいもらっていれば大丈夫かというと、その線引きは分野によって違うので難しいと思います。科研費は大体一口100万円くらい(一億円を超えるものもある)ですが、理論系の研究室なら一口もらっていれば十分です。他に学生数に応じて大学からお金もらってますし。

実験系の研究室は何を研究しているかでまちまちですね・・・。でも、実験系の研究をするのにお金はあるに越したことはないです。10人規模の研究室で年500万もらっていたらもらってるなーって感じでしょうか(適当です)。外部の実験設備を借りているところはいくらお金があっても足りないのでもっと多いかもしれません。

お金で研究室を選ぶ。打算的で世知辛いですが、研究室に所属するということはその研究室に就職するようなものです。企業を選ぶのに初任給や会社の資本金を見ない人はいませんよね?それと同じです。

それでは。